kkkのk太郎

DUNE/デューン 砂の惑星のkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)
2.3

このレビューはネタバレを含みます

砂の惑星”アラキス”の覇権を巡り繰り広げられる権力闘争の有り様を描いたSF叙事詩。

西暦10191年、惑星”カラダン”を治めるアトレイデス家は、皇帝の名により巨万の富を生む原料”スパイス”が眠る砂の惑星アラキスの統治を新たに任せられる。
しかし、それをよく思わないアラキスの前領主ハルコンネン男爵は、アトレイデス家から支配権を奪い取ろうと戦争の準備を着々と進めていた…。

監督/脚本/製作は『メッセージ』『ブレードランナー 2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ。

アトレイデス家の嫡男、ポール・アトレイデスを演じるのは『インターステラー』『君の名前で僕を呼んで』のティモシー・シャラメ。
ポールの母親であるレト公爵の愛妾、レディ・ジェシカを演じるのは『ミッション:インポッシブル』シリーズや『グレイテスト・ショーマン』のレベッカ・ファーガソン。
アラキスを治めることとなったアトレイデス家の当主、レト・アトレイデス公爵を演じるのは『ドライヴ』『スター・ウォーズ』シリーズの、名優オスカー・アイザック。
ポールの指南役でもあるアトレイデス家の忠臣、ガーニイ・ハレックを演じるのは『アベンジャーズ』シリーズや『デッドプール2』のジョシュ・ブローリン。
ポールの夢の中に現れる砂漠の民”フレメン”の女性、チャニを演じるのは「MCU」版『スパイダーマン』シリーズや『グレイテスト・ショーマン』の、名優ゼンデイヤ。
アトレイデス家に仕える名うての戦士、ダンカン・アイダホを演じるのはテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や「DCEU」シリーズのジェイソン・モモア。
フレメンの長、スティルガーを演じるのは『007 スカイウォール』『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』の、オスカー俳優ハビエル・バルデム。

音楽は『ダークナイト』トリロジーや「DCEU」シリーズの、巨匠ハンス・ジマー。

👑受賞歴👑
第94回 アカデミー賞…美術賞/撮影賞/音響賞/作曲賞/編集賞/視覚効果賞!✨✨✨✨✨
第79回 ゴールデングローブ賞…作曲賞!
第75回 英国アカデミー賞…音響賞!

原作は作家フランク・ハーバートが1965年に発表した長編SF小説「デューン砂の惑星」。
この小説が映像化されるのは今回が3度目。1984年にデヴィッド・リンチが映画化しており、2000年にはテレビドラマ版が、2003年にはその続編が放送されている。
また、アレハンドロ・ホドロフスキーもこの小説の映像化に挑戦したことがあり、結果としてその制作は頓挫してしまったのだが、その顛末が『ホドロフスキーのDUNE』(2013)というタイトルでドキュメンタリーとして映画化されている。

ちなみに、宮崎駿はこの小説から大きく影響を受けており、1982年から1994年まで連載されていた漫画「風の谷のナウシカ」にはそれが顕著に表れている。

「史上最も売れたSF小説」とも言われているこの「デューン」ですが、実は読んだ事がありません💦映像化作品に触れた事もないため、今回が完全なる初デューン体験。
ふんふんなるほど。白人酋長が砂漠の民を率いて戦いを挑む、という『アラビアのロレンス』(1962)をSFに翻訳したような作品なんですね。…まあ『アラビアのロレンス』って観たことないだけど。でも、70年代にはデヴィッド・リーンに監督のオファーがあったって話だし、多分この認識は間違っていないんだろう。

「ナウシカ」の元ネタなんでしょお?くらいの浅い予備知識で本作を鑑賞した素直な感想。これまんま『スター・ウォーズ』じゃん!
主人公が高貴な血族の”選ばれしもの”で、敵対するのは銀河帝国。シスの暗黒卿みたいなやつがボスで、フォースを使うジェダイみたいな組織があって、ハン・ソロみたいな兄貴がいて砂漠の惑星にはタスケン・レイダーみたいな種族とサルラックみたいな巨大な砂中生物がいると…。超未来なのに武器はサーベルが主体だし、うんこれもう立派な『スター・ウォーズ』の新作や!
もちろん、これほど似通っているというのはヴィルヌーヴが『SW』から影響を受けているという事以上に、ジョージ・ルーカスが「デューン」に影響を受けていたという事なんだろうけど、映像作品としては『SW』の方が歴史が古いし有名なわけで、やはりこういう映画を観ると「うーん、『SW』みたいだなぁ…」なんてついつい思っちゃう。後年生み出された数々の『SW』ワナビーと本作は全く立場が違うということはわかっているんだけどね。

まぁそれは置いといて。
本作が面白かったのかつまらなかったのかというと…。
デューン…⤵︎
つまんなかったですはい。

冒頭からナレーションと説明台詞の嵐。
惑星アラキスを支配するハルコンネン家はスパイスと呼ばれるエネルギー源を採掘することで巨万の富を得たが突如としてその任をとかれ代わりに惑星からだんを治めるあとれいです家がその後任となったがそれはぎんがこうていのいんぼうで、砂漠にはふれめんという先住民がいてぼいすというちょうのうりょくがあってしーるどはゆっくりだときかなくておかあさんはべねげせりっとでそこのきょうぼはどくしんしでごむじゃっばーるはいたいいたいでくいさっつはでらっははえらばれしもので…。あーー!!リーサン・アル=ガイーーーブ!!

マジで全然頭に入ってこない。特に悪いジェダイ評議会みたいなベネ・ゲセリットという組織に関しては何が目的なのか全然わかんねぇ…。こういうのって小説だと「えっと…。これどういう意味なんだっけ?」と前のページに戻って調べることができるけど、映画だとそういう訳にはいかない。わからないままどんどん先に進んじゃうから終始ほげっとしながら鑑賞するハメになってしまった。
大体砂漠の惑星の名前がアラキスって…。デューンじゃないのかよ!じゃあデューンってなんなの?…と思って調べたら「dune」って「砂丘」つー意味なんですね。ならロケ地は鳥取県?

とはいえ、ややこしい専門用語で埋め尽くされたSF映画というのはそんなに嫌いじゃないし悪いことだとも思わない。
SFはいかに魅力的で実在感のある世界観を構築出来るのかに係っているみたいなところがあるわけで、そういう意味ではこの映画の世界観の作り込みは相当なものがある。専門用語の嵐に加え、謎の宇宙語や手話による会話、唾吐きや砂歩きなどのフレメン独特の文化など、微に入り細を穿つ設定が映画の土台となり物語をがっしりと支えていることは間違いないだろう。
要するに、何言ってるかよくわからないけどそれが魅力的な物語内世界を生み出しているだから、それはそれでオッケーということなのです。

この映画の問題は、クソ長いにも拘らず設定を広げるだけに終始してしまっていること。起承転結の起だけで2時間半…。いやーキツいっす😓
多分これ、『SW』だったらあのオープンニングクロールだけで全部説明しちゃうと思う。

  遠い未来、はるかかなたの銀河系で…。
 デーンデレデレデレデレデンデデーン♪🎉
惑星アラキスで戦争が起こった!アラキスを支配するレト・アトレイデス公爵を、前領主であるハルコンネン男爵と銀河皇帝が結託し攻撃を仕掛けたのだ。からくも危機を脱したアトレイデス家の嫡男ポールとその母である公爵の愛妾ジェシカは、砂漠の民フレメンの下に身を寄せる…。

うん、これで良いんじゃないすか?
退屈なところはすっ飛ばして、いきなり一番面白いところから物語を始める。こういう長大な物語はこの「SWメソッド」で描くのが正解だと思う。まぁ原作ファンは納得しないかもしれないけど。
クライマックス、チャニが「驚くのはまだこれからよ!!」なんてドヤ顔し始めた時ゃ腰を抜かすかと思った。俺の2時間半返せバカっ!!

つらつらと設定だけを述べる薄い物語に加え、ヴィルヌーヴらしい辛気臭い画面と、ハンス・ジマーらしい退屈な音楽。これで眠くなるなって方が無理。
「ファイナルファンタジー」や「テイルズオブ」など、日本のRPGゲームにも大きな影響を与えている「デューン」。それもあってか、なんかゲームのチュートリアルを延々とプレイさせられている様な感覚に陥ってしまった。○で攻撃!×でジャンプ!L1で回避!とかやってたら、それだけでゲーム終わってしまったみたいな。それなんてクソゲー?

シールドというガジェットを使った剣戟は映像映えすると思ったし、レト公爵の臭い息攻撃とそれを喰らったハルコンネン男爵が酸素不足になった水槽の魚のように部屋の隅っこにプカーッと浮かんでいるところなんかはシリアスギャグって感じで結構笑っちゃった😂
砂虫の迫力も言うことなかったし、そういう映像表現の面白さは確かにあるものの、全体的には地味で退屈。惑星アラキス同様、どこまでも不毛な景色が続く映画でありました。

典型的な貴種流離譚である本作。だが、本当に貴種が流離するだけで終わってしまった。続編ではちゃんと帰還してくれるのだろうか?
「ポールたちの戦いはまだこれからだ!完!」みたいなことにならないことを祈る。
kkkのk太郎

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