櫻イミト

オマールの壁の櫻イミトのレビュー・感想・評価

オマールの壁(2013年製作の映画)
4.0
パレスチナ解放人民戦線・日本赤軍の元メンバー足立正生監督推薦の一本。「分離壁」によって分断された街、パレスチナ自治区で生きる若者たちを描く。監督はパレスチナ出身のハニ・アブ・アサド。

パン職人として働きつつ、反イスラエル活動を行うパレスチナ人青年オマール。分離壁をよじ登り、壁で分断された恋人の元に通う日々を送っていたが、イスラエル兵の殺害容疑で捕えられる。。。

パレスチナ映画を初めて観た。序盤に若者が「ゴッドファーザー」(1972)の物まねをする。誰でも知ってるネタを入れることで、世界の映画ファンを本作に入りやすくしている。

深刻で政治的な要素が青春映画のストーリーに散りばめられ、パレスチナの置かれた実態をわかりやすく知ることが出来た。とは言え、映画で取り上げられているのは問題の一部であり、本作をキッカケに国際情勢にもっと目を向けなければと強い刺激を受けた。自分は勉強不足過ぎるので本作の内容についてのなまじっかなレビューは今は控えておく。

同監督の「パラダイス・ナウ」(2005)と同様に、パレスチナとイスラエルの問題を、パレスチナ側の視点で描いている。同作についてアサド監督は北野武監督の「ソナチネ」(1993)からの影響を語っていたが、本作には前年の「アウトレイジ ビヨンド」(2012)を連想した。

※「分離壁」
イスラエルが「自爆テロを防ぐためのセキュリティフェンス」と称し、パレスチナのヨルダン川西岸地区に建設した高さ8m、全長700Kmの巨大な壁。実際にはパレスチナ側に大きく食い込みパレスチナの街を分断している。イスラエルの領土拡大と、パレスチナの分断が目的と言われている。

※自分への宿題
・中東問題の始まりは70年前のユダヤ人移民によるイスラエル建国だった。移民(グローバリズム)に対して今後日本はどうするべきか?
櫻イミト

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