kumada

虐殺器官のkumadaのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.3
伊藤計劃(故人)は私の好きなSF作家です。この映画の原作(小説)を読んで好きになりました。言語機能が人間の行動にもたらす影響を、SFの題材として扱っています。言語を介して人間に虐殺行為をおこさせることができる。言語は脳が担うもの。つまり脳の中に虐殺器官がある。映画では触れられていませんでしたが、ノーム・チョムスキーの生成文法を想起させるお話でもあります。小説を読んだとき印象に残った「人工筋肉を用いた降下装置」と「痛覚マスキング」も映画に出てきました。特に前者は、本を読んだとき私がイメージしたままの形状だったのでびっくり。彼の文章による描写力の賜物でしょう。早逝が惜しまれる作家です。
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