結果からいえば、すごく惜しい。
スプラッター表現やゴア描写においては、“邦画”という前置きなしでも超一流のゾンビ映画であり、日常に侵食した恐怖が見事に描かれた傑作であることに間違いない。心の底から気持ち悪いと思えるゾンビにやっと出会えた。ていうかむしろ可愛い。高跳野郎とか愛おしさすら感じる。
実に惜しいと感じた原因は、全編通して論理的･合理的な展開･説明がなされなかった点にある。明確にしておくべき点を色濃く描かなかった。
例えば、
そもそもなぜZQNウイルスが蔓延したのか。そしてどのように感染していくのか。また、ヒロミがなぜ完全にZQN化しなかったのか。
このような基本的な情報の説明が疎かにされたことで、全体的な説得力が欠けてしまったのではないか。
もちろん これらは原作を読めばすぐわかることなのだろうが、映画化している時点で、原作読了が最低条件ならば それは映画化の意味を果たしていないと思う。映画単体で全ての鑑賞者に理解させなければならない。
これまでの日本映画には類を見ないゾンビ映画の大傑作だからこそ、細部までしっかりと描ききって欲しかった。
