くりふ

GHOSTのくりふのレビュー・感想・評価

GHOST(1984年製作の映画)
3.5
【コマ撮り世界にゴーストを挟む】

純粋に映像で遊ぶ実験映画。ホラー風味だが、シンプルで心地よい。

あらすじ?代わりになる、監督のコメント発見。

“『THUNDER』制作時に思いついた、像を宙に浮かすアイデアを実現したくてこの作品を作った。全編長時間露光によるコマ撮り撮影。当時住んでいた会社の寮で仕事から帰って夜中撮影、朝方2時間ほど寝て出勤するという生活が続き死にそうになった。”

像を宙に浮かすアイデアを具現化したのがゴーストなので、怖くはない。

恐怖でも狂気でもない。日常風景に混入される、愉しめる“バグ”と言えるだろうか?没入できればドラッグともなるけれど、ヘルシーなやつ。溺れる必要がないからね。

私はこういう作品、とてもポジティブに受け取れます。だって対象は、自室やその周辺環境、いわばパーソナルスペースだけなのに、こんなに面白く異化してしまえるのだから!

ここではない何処かに行かなくとも、人生はいくらでも面白くできるんだよ!www

作業としては、コツコツとコマ撮りしながらカメラを移動しただけ?多分ポスプロ的なことは殆どやっていないかと。大袈裟な大予算CGなんて要らない。…自分の想像力次第では。

カテゴリは実験映画ですが、これも充分なエンターテイメント。また、そう受け取れるよう、自分の器をまだまだ広げたいな、とも思います。

カメラは世界を捏造する。胡散くさいが、映画って誕生した時からそうだったよね。

…ところであの、人間の“顔ブレ”表現、後にハリウッドのメジャー映画でも見るようになったが、始まりはどこだったっけ?まさか本作ではないと思うけれど。

<2023.5.9記>
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