OASIS

NY 心霊捜査官のOASISのレビュー・感想・評価

NY 心霊捜査官(2014年製作の映画)
2.3
強い霊感を持つ刑事がその能力を使って事件を解決しようとする話。
実在の捜査官の体験を基にしたという事。
監督は「フッテージ」のスコット・デリクソン。

エリック・バナ主演のホラー。
R-18という部分が気になって鑑賞。
ショッキングな描写はあるものの「どこがそんなに映倫に引っ掛かったのか?」という微妙な具合。
子供の死体が出てくるのだが頭にゴミ箱を被されているし、飛び降り自殺した女性の生々しい骨の折れ方とかもリアルだが作り物感が漂うし。
どっちにしろ「恐怖」という面では物足りなかった。

冒頭、イラクに派遣された兵士が変わった墓地を発見し何者かに取り憑かれてから3年後に時間は飛ぶ。
妻に暴力を振るう夫や動物園の堀に赤ん坊が投げ捨てられる事件が発生して、一見関係無さそうに見えるがそこには派遣から戻ってきた兵士の一人が関わっているという。
どうやらその男が何かに操られていて悪霊を呼び出す為の「扉」を開いているらしいというのがわかる。

ビデオを再生したり巻き戻したりする事で犯人の目論見を見破っていくのだけど、その最中に主人公にしか見えない姿が何度も写り込む。
それに彼は「驚いた〜」と正体を知っている様な反応は見せるものの、その正体は明かされないのでモヤモヤする。
そこで相棒となる神父が出てきて「君のそれは霊感だ!」と教えるのだが、主人公は自分から気付かず他人から指摘されてやっと自覚する為展開がもたついている印象でした。
相棒の警官の死によってやっと重い腰を上げ、しかもそこまでで1時間くらいあるという。遅いよ!

犯人の目的や正体がおよそ分かっている状態なのもそうだし、一番の恐怖が半減する要素はやはり悪魔に取り憑かれた人間そのものを写している事かなと。
欧米と日本では恐怖を感じる対象が悪魔か霊体かという宗教観の違いがあると思うので、ズバリ悪魔そのものを出されるとどうしたって「そんなに怖いものかな?」という思いが出てくる。
キリスト教信者にとってはこの上無く恐ろしい存在であっても、少なくとも日本人としては「悪魔ですか、そうですか」という目線でしか見れない。
悪魔が何故ジェーンを精神病院から抜け出させてわざわざ自殺させたのかも分からなかった。
そっちの方が面倒くさくないだろうか?

悪魔に対してはそんな印象だった分、捜査に訪れる地下室や住居で暗さと無音による演出で恐怖を煽ったりしてくれるのでその面ではドキドキ感があった。
娘や家族にまで魔の手が忍び寄る様子を、ベッド下からの爪音やフクロウの縫いぐるみの不気味さで表現するのも良い。
ただ、全編通して明かりがほとんど無く暗過ぎるのが難点。

そして、主人公の霊感がイマイチ活かされていないというか、相棒の神父がとにかく強くて大活躍を見せるので「もう神父さえいればいいじゃん」という気になってその後ろでもたついている主人公の方が邪魔に思えてくるという。
なので、神父を中心としたエクソシストものとしてみると中々面白く観れるのではないかと思いました。

自らの罪を告解しなければ霊感を得られないという設定は面白かったし、取り憑かれた兵士役のショーン・ハリスの怪演も光る映画でした。

一つ言うとすると、ゴキブリが苦手な人は観ない方がいいかもしれないです。カサカサ。

@イオンシネマ茨木
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