生者と亡霊を明確に隔てるものが存在せず、常に曖昧な境界の中でそれぞれが交叉する空間はアピチャッポン的な無常感を漂わせている。深津絵理が白玉を作る様子を捉えたショットが切り返されるとき、そこには一切の前置き/前触れが用意されることなく、存在しないはずの人間(浅野忠信)が存在する。『Angel Beats!』的な旅路の渦中に、深津絵理と浅野忠信が田園を見下ろすロングショットがとにかく素晴らしい。
浅野忠信は『淵に立つ』でも、気がついたときには背後に「存在する」人物として演出されていたが、気配を察知させない人物としての適性が異様に高い。