このレビューはネタバレを含みます
すごい映画。
まずは全編ワンカットかのように見える、そうでなくてもそれぞれのカットがめちゃくちゃ長い撮影手法ゆえに緊張感が続く。
ブロードウェイが舞台であるからこそ舞台の臨場感のようなものが意識されたのだろうか。
特に劇場の込み入った造り、特に廊下を抜けていく際の緊張感が素晴らしいなと思った。
あわせて音楽はなぜかドラム音。主人公の幻聴なのか、ただのBGMなのかと思うが所々実際にドラマーが叩いていたり、街でマーチングバンドが叩いてる音だったりして現実か幻なのかをはっきりさせない。
同じく、最後の最後まで主人公の超能力についても幻なのかわからないつくりが巧妙。
空を飛んで劇場に戻った後のタクシー代の取り立てなど説明を尽くさずともファンタジーに寄せきらず、かといって(劇中劇の評価とは違い)徹底した現実の羅列でもない作風は面白かった。
LAとNY、映画と舞台、バードマンと自分等の対比に今の自分と過去の栄光も並べたい、過去を超えていきたいと望む主人公は結局、意図せぬままに賞賛を手にするものの、その時の彼の姿は仮面を被ったバードマンそのもの。
結局何かのラベルを貼られなければそのままの自分を評価されることなどないのかと思うが主人公は仮面(実際には包帯)をはぎ捨て、素顔のまま空に飛び立つ。
ラストのエマストーンの演出がニクい。何も言ってないし映してないのに目線だけで語る。
関係ないけどララランドのラストもそう(エマストーンとライアンゴズリングの目線で終わる)だったなぁと思い出しました。