ぱんだ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のぱんだのレビュー・感想・評価

3.8
昔、別のSNSに書いてた感想が出てきて、我ながら面白いこと書いてたので、こちらでも記録保存。
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

アカデミー賞4冠(作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞)ということで、やはり期待値高めで観に行きました。

結論から言うと、バードマンのブラックユーモア&ジョークに、アカデミー賞4冠という形でハリウッド映画界がブラックユーモア&ジョークを返した、いうのが正解のような気がする作品。

はっきり言って、この作品が面白いなんて手放しで言うアホがいたら、そいつはなんちゃって映画評論家だとさえ思う。

日本人には馴染みの少ない毒…猛毒の効いた映画。
これに出演したハリウッドスター達(カメオ出演の人たち含め)なかなかな度量だと思う。
一番のジョークキツイぜって思ったのは、出演者にアメリカンヒーローシリーズの出演経験者が多すぎる。

この前、アメージングスパイダーマン2で死んだヒロインはヤク中の娘役だし、
アベンジャーズのハルク役をノートンはアメリカンヒーローはもう懲り懲りと言わん張りに断ってたのだが今回は役者キチガイの役、
ちらっとテレビ画面に映ったロバート・ダウニーJr.を演技が下手くそと批判する主役は初代バッドマン(このシーン笑ってOKしただろうダウニーJr.には本当に惚れる)
そのあと頭のおかしいホームレスみたいな役で、マイティソーの教授出て来て吹いたわ。

全編に渡ったテーマとしては、「芸術と娯楽」だと思う。
最初、アメリカンヒーローに象徴されるハリウッド映画界へ批判から始まるのに、最後の方は芸術家ぶったブロードウェイ演劇界への痛烈な批判に変わる。

お互いにお互いを牽制し合う。
片方は片方をくだらない低俗と叫び、もう片方は気取った選民意識の塊どもと罵る。

この作品は別にどっちが偉いとも言わない。そして、その狭間で疲れきった元バードマンが一人ポツンといる。

追い詰められて行く主人公を描くのに、妄想なのか、現実なのか、わからない演出は「ブラックスワン」と大変似ている。エンディングの表現は、たぶん主人公の性差であろう。
良くも悪くも男性の方が最後まで夢見がちで、女性の方が途中で我に返るところがある。

演出といえば、演劇のようなワンカットに見える撮影方法は本当に好き。
バンバン部屋の扉を開けて行って、シーンが途切れることなく続いて行く、厳密には途切れてるのだけど、それを感じさせず2時間カメラ回っぱなしに見える。
演劇の舞台裏をずっと見せて行って、セットもほとんど芝居小屋の中だけなのに、ドアと廊下と階段を使って無限に表現してる。

作品賞、監督賞、脚本賞は洒落だが、撮影賞はガチで異論はない。
今後の作品で増えてくるだろうね。
今までもワンカット風なスピードムービーはあったけれど、この映画のそれは群を抜いてる。
本当にメイキング見てみたい。

さてさて、とても語りたくなる作品だけど、全くオススメはしません。
日本人にはキツすぎるブラックユーモア&ジョークです。
カップルで観に行くとか自殺行為です。
やめましょう。
観終わっても話なんか続きません。

そして、この映画好きか嫌いかで喧嘩になるのが関の山です。

いろいろ書きましたが、私は好きですw
何より大好きなエドワード・ノートンが久しぶりに伸び伸び演技してて、嬉しかったのもあります。
あんな伸び伸びしてるノートンは「僕たちのアナバナナ」以来ではないでしょうか?

最近、アニメばかり観ていましたが、なんだかんだ言いつつ、私はやはり映画好きなのだろうと再認識したGWでございました。
ぱんだ

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