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マルティニークからの祈りのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

マルティニークからの祈り(2014年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

マルティニークに拘留されてしまう、韓国人女性の話。

生活苦から麻薬の密輸に関わってしまった事で、マルティニークの刑務所に送られてしまう主人公。
韓国政府の支援も受けれず、2年以上もマルティニークで過ごしたという実話が描かれます。

麻薬だったとは知らなかったとはいえ、自ら怪しい仕事に手を出した事には自業自得な部分もあるのでしょう。
しかし、だからといって、彼女が受けた罰が妥当とは思えないし、犯罪歴もなく、同情の余地もある女性を“犯罪者”と一括りにして良いものなのか。
犯罪者の中にもグラデーションはあるし、犯罪者というだけで人権を軽視する、韓国大使館の姿勢には恐ろしいものを感じました。

印象的だったのは、ペ・ソンウ演じるチョ課長。
当初は主人公寄りのスタンスで「彼が味方してくれるのかな?」と思っていたら、上司に怒られた途端にスタンスを変えて、終いには「麻薬おばさん」と揶揄する始末。
彼の中にアイヒマン的な凡庸な悪を垣間見たと言いますか、こういう事って、本当にどこにでも起こり得る事なんでしょうね。
本作を見た、ほとんどの人は大使館の人間を非難すると思いますが、果たして自分がチョ課長の立場だったら、上司に歯向かう事が出来ましたか?という事は問いたいところではあります。

大使館も警察も役に立たない中で、最終的に報道番組が頼りになっていくのは韓国っぽいな~と思いました。
あの手の調査報道番組は他の映画やドラマでも、よく見掛けるのですが、韓国はジャーナリズムの地位が高いみたいで羨ましい限り。
まぁ、だったら、主人公の夫はもっと早くにTV局に行けよ!とも思いましたが。笑

離れ離れになった家族の絆を描いたファミリードラマとしては勿論の事、個人的には犯罪者の人権というデリケートな問題にも注目して欲しい作品です。
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