セガール幹事長代理

レヴェナント:蘇えりし者のセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)
2.0
瀕死のおっさんが満身創痍で家に帰ろうとする話。

品位も見識もない私が観ても、すげぇ寒そうなアクション映画ぐらいの感想しか出ないし、本作とワイルドスピーなんとかや、ダイハーなんとかとの相違点を教えてくれと言われても、「主人公が清潔か不潔か」あたりの回答しか絞り出せないのが辛いところである。

肝心の不潔レベルにおいても中途半端で、その大きな原因の一つに、タイタニックのデカプリ感が抜けきれていないというのがある。
船が沈没する映画で、女の裸をデッサンしてサマになる青年が、いくら髪やら髭やら伸ばしたところでやっぱりデカプリだし、男が本来持ち合わせる無骨さとか荒々しさ、そういうのがヌードデッサンのイケメンの印象に持ってかれてしまう、そんな感覚がずっと続きます。

東京都台東区に「たん壺まん太」っていうゲイスナックがあるんですが(2022年現在閉店)、そこって1ヶ月風呂入らずに入店するとワンドリンクサービスになるので、私も若い頃怖いもの見たさで風呂に入らず(20日目で身体の痒みを我慢できずフライング)入ったことがあるんだけど、あのむせ返るような、これまでの幸福を帳消しにしてしまうような、ワキガと口臭で構築されたミストサウナ以上の不潔さを、このデカプリが持ち合わせているとは到底思えないのです。
どんなに上っ面を汚したところで彼は彼だし、滲み出てしまう役者としてのオーラが浮浪者感を打ち消してしまっているのです。

インスタとかツイッターで、綺麗で若い女の子が、おっさんが行くようなきったない居酒屋の写真をアップして、「シャンパンより黒霧派」とか書く心境と一緒です。
「こんな役もできちゃうんだぜ」、
「こういうお店も入れちゃう私を見て」感を汲み取ってしまうと、人はすぐに冷めるものです。

我々地を這うような生活を送るおっさんサイドからすると、マジで舐めんなって話なんですよ。

炊き出しの順番をめぐる殴り合いも、金欠で奥歯しか賭けることができないチンチロも、美人局の恐怖も経験のない女子供が何言っちゃってんの、ちゃんちゃらおかしいわって塩梅なんです。

ホント、こういうことは学校で教えてくれないんで明日から気をつけてください。
こっちもそんなに強く言いたくないんで。