Kumonohate

くちびるに歌をのKumonohateのレビュー・感想・評価

くちびるに歌を(2015年製作の映画)
4.3
毎月何かしらのクラス対抗行事があり、順位によるポイントが加算され、学年末に全学年全学級トータルの総合順位が発表されていた私の出身高校で、4月の行事は合唱大会だった。当然、練習に力が入っていたのは合唱部と半数の女子だけで、特に非合唱部男子はイヤイヤだった。だが、大会が近付くにつれ、いつしか全クラスが一丸となって取り組むようになり…という絵に描いたような青春を私は送っていたのだった。

本作も、そんな絵に描いたような青春ドラマ。言ってみれば、トラウマを抱えた教師による「二十四の瞳」と「フラガール」と「スイングガールズ」と「のど自慢」を足したような話。大会に向けて練習を積む合唱部に集まった、それぞれ心にマイナスを抱えた教師と生徒たちが、やがてマイナスと向き合い前を向くようになる、というお話である。そして最後に大会での合唱シーン。しかも曲はアンジェラ・アキ。リフレインされる辛かった日々…。目新しさなど微塵も無いストーリーではあるが、それでも泣くなという方が無理である。

で、やはり燦然と輝いてるのがガッキー。常に不機嫌そうに心を閉ざし、後半になって子供たちと打ち解けてきてもドカンと弾けたりは決してしない。この人ホントに子ども嫌いで冷たいんなんじゃないの?と思ってしまうくらい感情を全開にしない演技がとても良い。もと一流のピアニストという設定にリアリティーを与えているし、既視感ありまくりのドラマが安っぽくなることを防いでいる。ボロボロの軽トラ(観ればわかります)も意味不明だが意味ありげで良い。

でも、この客の少なさは何だ。ボロボロ泣けるのに。頑張れガッキー!
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