70年代ポーランド、見捨てられた人々。
監督は後に『ソハの地下水道』を著すアグニェシュカ・ホランド。
ポーランドの戒厳令と検閲により、公開を1987年迄遅らせられた、社会派ドラマ作品である。
尚、撮影はアンジェイ・ワイダの創設した、「Xグループ」に依る。

本作はポーランド西部、ヴロツワフのとある地区で郵便配達をして暮らす、一人の中年女性を主人公に据えている。
彼女は住宅委員会選定の低レベルな指定住宅に住み、隣人の嫌がらせや子供の問題、仕事上の問題を抱え、更には仲の良くない叔母を介護しつつ暮らしている。
窮屈で荒廃した人心の中、障害者の男性と親密になるが…、と言った筋となる。

通常社会派作品はよく、劇伴等に依り、感傷的な演出や政治色を施される物であるが、本作に於いてホランドは、それ等を一切排除し、淡々と社会から孤立した女性の徹底的な“リアル”を描き出している。
労働者団体「連帯」にも拒絶され、社会から断絶された人々の煉獄の様な生活の不安と絶望、貧困は、鑑賞者をも慄かせる。

本作は正直、鑑賞にエネルギーを要する類の作品であろう。
万人にオススメ出来る作品では無いが、ラストカットの天使の、凄まじい迄の痛々しさは、是非多くの方に観て頂きたいものである。
ポーランド映画界の層の厚さを見せ付けられる作品である。

ただふにゃふにゃと鑑賞した一般人の感想。
暗すぎる。ポーランドの巨匠アンジェイワイダの下で働いているた監督のアグニェシカ・ホラントだが、ワイダとは違う視点から社会に揉まれ民主化運動にすら参加する余裕がない最下層の人間の話。
連帯に対してのイメージは正直希望の文字が見えていたが大きいものの下には小さいものもありそれは見逃されがちになる。正直今生きていてその時代について知ったところでどうこうあるわけじゃないが最後のアメリカ大使館と主人公の住む環境のギャップに心を打たれる。時間は世界で平等に進むがあからさまな空間の違いを見て自分の視野の狭さを痛感した。

背中のダサすぎるタトゥーがすまんけど気になってそこまで入っていけず