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シャトーブリアンからの手紙のoliveのレビュー・感想・評価

4.0
真一さんのレビューをきっかけに。
やりきれなさと哀しさと無力感に包まれた。
あらゆる面で戦争は絶対悪だ、中でも何が辛いと言って人が人として持つべき心を手放さなくでは正気でいられない、兵士となったからには闇雲に上官の命に従わなくてはならいところだ。人対人として対峙すれば自分に何をしたわけでもない眼の前の人間を手に掛けるなどできるはずもない。そのできるはず無いことをしてしまうのが戦争というものなのだろう。
書き遺す手紙は知覧の特攻隊員のそれを思い出させた、決して彼らがその文面通り納得していたわけではあるまい、ただ死ぬと決まったからには何を言っても空しいわけで何故だ?何故自分なんだ、戦争の中心で責任をとるのは誰なのだ?心の中でそう叫んだ人もいたろう。
子供まで殺すのかと言った副知事が代わりのものを自分で推せと言われ結局はその直接的な責任を逃れそのままにした場面は酷いと非難する気持ちの一方で同じ立場なら自分もそうすると思った。人が決めたことに従うだけという口実が自分が決めることより楽だし薄まるからだ。
今新しい戦前という言い方があるけれど肌感覚としてそれを感じている。歯車はもう動き出してるのではないかと。子や孫の世代が戦争のないものであるように今一体何をすればいいのかと考える日々だ。
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