チッコーネ

牢獄処刑人のチッコーネのレビュー・感想・評価

牢獄処刑人(2013年製作の映画)
4.2
あまり使いたくない表現だが、便宜上敢えて『ピノノワール』と呼んでしまおう(あ、それじゃワインになってしまうかw)…、嬉しい驚きが隠せない佳作!
性格異常の影こそないものの、一様に腐敗したキャラクターたちが暗躍するハードボイルドな作風に、終始ワクワクした。
まるで韓国映画を観ているような錯覚に陥ってしまったが、近年、アジア有数の魔都と化したマニラの世界であることは紛れもなく、実話ベースというのだからすごい。

フィリピンのチェ・ミンシク、或いはキム・ユンソク、イ・ビョンホン、そしてイ・ギョンヨンとでも呼びたい役者たちが次々に現れ、ぞれぞれが魅力的。
なお主演のジョエル・トレは、本作の演技でプチョン国際ファンタスティック映画祭の主演男優賞を受賞している。

役者たちの周囲をグルグル回る、躍動感に溢れた撮影が印象的な場面多数。
刑務所内の意外に自由な様子、そしてしっかりオネエ囚を映すセンスも◎。
タガル語と英語がチャンポンになった口語が聞けるのも楽しい(putaとか、スペイン語との類似性も感じられる)。
また90~00年代のミクスチャー・ロックを彷彿とさせる音楽はどこか懐かしく、カッコ良い。
本作が9年前なのだから、ドゥテルテ大統領時代、他にもおもろいフィリピン映画があったのでは…、気になって仕方ない!