Tラモーン

悪魔は誰だのTラモーンのレビュー・感想・評価

悪魔は誰だ(2012年製作の映画)
4.0
『共謀家族』を観て以来ずーっと観たかったやつがU-NEXTに!


15年前の誘拐事件により娘を失った母親ハギョン(オム・ジョンファ)の元に、担当刑事だったチョンホ(キム・サンギョン)が訪れる。事件が間も無く時効を迎えるのだ。現実を受け入れられないハギョンと同じく、チョンホもまた未だこの事件の犯人逮捕に執念を燃やしている。
時効成立の5日前に女児殺害現場に一輪の花が手向けられているのを見つけたチョンホは、周囲の防犯カメラを頼りにあと一歩のところまで犯人を追い詰めるが、努力も虚しく事件は時効を迎えてしまう。無念を感じ、刑事を辞職するチョンホだったが、その頃15年前の同じ手口の誘拐事件が起こる。


複雑に練られた脚本、ミスリードを誘う見せ方。そして緊張感溢れるサスペンス性と家族愛を問う深い余韻。さすが韓国映画という感じの見事な詰め込みっぷり(褒めてる)。これもネタバレ厳禁のやつ。

時効間近の事件を追う執念の捜査を描く冒頭はとにかくテンポよく、グッと引き込まれる。それに加えて意味ありげに差し込まれる15年前の事件と思われる断片的なシーン。

犯人を取り逃した失意のチョンホとハギョンと離れたところで起こる同一犯のような誘拐事件。公園から幼い女の子がいなくなる描写怖すぎるんよなぁ。
緊迫感溢れる捜査〜逮捕劇で一件落着かと思いきや捕らえた男はまさかの…。

現代と15年前の事件を行ったり来たり、そして巧みな時系列ズラしを混ぜながら、最後の最後まで核心を見せない演出が上手い。
後から思えばなるほどと唸るような伏線の張り方もお見事。
カレンダーの7/19の印と障子に映る影のシーンは上手過ぎるだろ!ハラハラしながら観てたのに、意味がわかると切なさと行き場のない怒りに胸が張り裂けそうになる。

『悪魔は誰だ』という邦題が上手いこと言ってて、人間誰しも己の正義のためには誰かの悪魔になる可能性を秘めてるという感じかな。たしかに両方の立場を想像すると…どっちもやるかもしれないな。

写真のシーン。そこで彼女を思い出さずにはいられないよね。泣くしかないよな。しかしそれ以上に執念の怒りが、彼女のために何かしたいと思う気持ちが強かったんだろうな。

"こんな終わり方は納得できない"
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