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沈黙ーサイレンスーのkenのネタバレレビュー・内容・結末

沈黙ーサイレンスー(2015年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

記念すべき300作目。長かった〜

スコセッシが好きだから作品の中でメジャーなものでっていう単純な理由で鑑賞。
めちゃくちゃ重い作品だった、、けど重いだけじゃなくて、最後はどこか心が晴れて気持ちが楽になる。

終始、赦しとは?信仰とは?というテーマと神の沈黙との闘いが描かれていて常に観客が問いかけられている作品。

キリストへの信仰心を常に持ち続けている模範的な信者(ガルペ、モキチ、キチゾウ、モニカ)は拷問を恐れず祈り続けるが、当然拷問によって最後は亡くなり、神による奇跡は起きない。自分達は何のために祈っているのか、神は何故祈りに答えてくれないのか。拷問され息絶えていく彼らを見てロドリゴはパードレとしての自信を失う。踏み絵に対してのガルペとの価値観の違いが印象的。

逆に信仰心を捨てる行為、神を何度裏切っても(キチジローの踏み絵、密告)その事を懺悔しすれば、許されることになるのか?ロドリゴはキチジローを見てずっと葛藤していた。キチジローのようなものが救われていいのか?ペタペタと足跡をつける子供のように踏み絵をするキチジローが印象的。それでも彼は死にたくなかっただけでキリスト教にすがる、正真正銘の信者なのは間違いない。「弱い人間はどうすればいいんだ。」が強烈。

ずっと悩み、何が正解か分からなくなったところで沈黙を貫いていた神からのお告げが聞こえる。肩の荷が降りたなんて言葉じゃ足りないけど、一つの戦いが終わって楽になった瞬間。赦された瞬間。
そこからはロドリゴの沈黙。自分の心の奥に信仰さえあればそれで十分。

映像がすごく綺麗で、海岸の荒波での磔の寒々しさとか処刑の雰囲気とか生々しくていい意味で怖い。ガルペの顔もクリアに見えて信仰深い信者にピッタリ。
オープニングとエンディングの虫の声で儚さと安らぎを感じる。
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