佐藤でした

ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男の佐藤でしたのレビュー・感想・評価

3.7
ソウルミュージック界のレジェンド、ジェームス・ブラウンの伝記ドラマ。

父親がまともにお金を入れず、母親とひもじい思いを強いられた少年期。その母親にも結局捨てられ、店の客引きなどをして自力で暮らした10代前半。17歳の転機で、刑務所内での運命的な出会いがあり、音楽の道へ。そこから少しずつ、でも着実に才能は世に知られていく。そんなJBの人生が鮮明に描かれている。

黙ってなんか、い、ら、れ、な、い!とでも言うように、心の疼くままに手足を動かす独特なダンスと、観る者を否が応でも元気にさせる歌声が特徴的。

だがその唯一無二の圧巻のステージングの“明”の裏には、壮絶な“暗”があった。
ストーリーは時系列の通りに順序立てては進まないので、ぱっと見で時代がわからないシーンも多いが、それが“明と暗”のコントラストを強調していました。

JBは、人並み外れた「自尊心の強さ」で邁進してきた人。ステージのサイズなど全く関係なく、世界一のエンターテイナーはこの!俺!様!だ!という感じ。

AメロがあってBメロがあってサビ…とかじゃなくて!あるのはソウル=魂なんだよ!わかるか!って、とても言葉では説明できない独自の哲学をバンドメンバーにドバーーンとぶちまけ、言うことが聞けないのなら即バイバイ。一切のブレの無い姿勢は、清々しさすら感じます。

もちろんその横暴なやり方で周囲の人間は離れていく。でも彼は「孤独」に慣れているし、常に「守り」に入らない。それはここに来るまで誰にも「守られて来なかった」からだ。人を信用して力を合わせることに魅力を感じられる訳もない。
ただ、一人だけずっと一緒にいてくれた人がいた。邪険にしても、突き放しても。JBはその態度を見て“君はファンクだ”と表現した。

…劇中の歌はすべてジェームス・ブラウン本人のものを被せているが、ステップの一挙一動から話し方のクセまで見事に“完コピ”して魅せた、俳優チャドウィック・ボーズマンの“ソウル”もしっかりと感じました。
佐藤でした

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