デニロ

その夜の妻のデニロのレビュー・感想・評価

その夜の妻(1930年製作の映画)
3.0
1930年製作公開。原作オスカー・シスゴール。脚色野田高梧。監督小津安二郎。ピアノ伴奏小林弘人。

強盗連絡を受ける笠智衆。斜め後ろの横顔でそのお顔を確認できます。

拳銃強盗を働いたのは岡田時彦。重病の小さな娘の医療費のためだという。奪った金を握りしめ深夜のビジネス街を彷徨う。そんな最中にも娘の安否が気にかかり、公衆電話ボックスを見付けるや堪らずに病院に連絡を入れる。/娘の様子はどうでしょうか。/今夜が一番危ないんです。事情はどうあれ今夜は家にいてあげてください。/医者の言葉に狂わんばかりになってしまう岡田時彦。でも警察の手配が彼の周りに及んでいて絶体絶命。そこに円タクが滑り込んできて九死に一生を得る。

アパートに帰ると妻/八雲恵美子が娘の額に氷嚢を当てている。娘の容態を見やりほっと一息つく。夫が大金を持っているのを見るや/あなた、これ?/俺の仲間は貧乏人だ、貸せる金なんかありゃしないんだ。/といいつつ彼ら夫婦の住んでいるアパートはなんだかモダーンだし、娘は大きなベッドに臥せっているし、こ洒落た調度品がたくさん置いてあるし、部屋の壁には外国映画のポスターが所狭しと張られている。ここは日本じゃない設定なのかしら。/娘が治ったら、俺は自首するつもりだ。/そこにトントンとドアを叩く音。

この人物は一体全体誰なんだ、と思って画面を観ていると、さっき岡田時彦を送って来た円タクの運転手ということらしい。何でこんなところまで来るのよ、と更に観ていると、/わたしは某筋のものだが/と名乗ってので反社会的勢力の人なのかと、一層訳が分からなくなる。進んでいくうちに怪人二十面相の原型だと分かる(多分)。

ここから人間の深層と一緒に拳銃が行ったり来たりして攻守交替していく。よく分からんのが怪人二十面相の刑事。車でわざわざアパートまで送ってやった真意が分からん。そうこうするうちに朝になりお医者さん/斎藤達雄が往診にやって来て、ご安心ください持ち直しましたよ、と夫妻に明るく話しかける。斎藤達雄のことだからこの家で何が起こっているのかは全く分かっていないことだろう。

さて、ここからが面白くなるんだけど詳しくはYouTubeでご確認ください。

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