その夜の妻の作品情報・感想・評価

その夜の妻1930年製作の映画)

製作国:

上映時間:66分

ジャンル:

3.7

「その夜の妻」に投稿された感想・評価

のん

のんの感想・評価

3.3


病気の娘の治療費を工面するために強盗をしでかした男がタクシーで帰宅。しかし実はその運転手は刑事で間もなく男の家に踏み込むが……。

原作もののクライムサスペンス…?
ほぼワンシチュエーション。
現代の私が観ると「え…?」って思うところあるけどなにせ昭和一桁だもんね。

男の家の中には英字のポスターがたくさん貼ってありアメリカ映画の影響を感じさせて印象的。
戦前の小津安二郎の作品。

サイレントです。字幕は現代語訳にした方がいいかも。
「非常線の女」と双璧をなす傑作サイレントノワール 小津安二郎「その夜の妻」

サイレントだからこそ溢れ出る詩情があるようにサイレントだからこそ溢れ出る緊迫感がありサイレントだからこそ溢れ出るオマージュがあります。

ここにはその全てがあります。

息子ジョンも孫アンジェリカ、ウォルターも劇中に壁に張られたポスター「WALTER HOUSTON」の文字を見て誇らしく思ってくれたに違いありません。
映画男

映画男の感想・評価

2.5
前半はかっこいいフィルムノワール。
後半はお涙頂戴のメロドラマ。
ずっと前半の感じでよかった。。
みら

みらの感想・評価

4.0
アメリカ映画っぽい小津。冒頭の夜のシーンから抜群にいい。ズームインーアウトの決定的なショットがgood!
小津安二郎監督には珍しい犯罪映画(サイレント映画)。

オスカー・シスゴールの短編小説『九時から九時まで』を原作とした小津監督には珍しい犯罪映画。(二丁のピストル、手錠なども小道具として登場する。)

しかし、犯罪映画といっても徹底的なノアールではなくて、幼い娘の病気を治すための費用を工面するために強盗してしまった男(岡田時彦)とそれを現場からタクシー運転手として乗せた刑事、そして男の妻(八雲恵美子)が繰り広げる人情味あふれるドラマ。

DVD(デジタルリマスター修復版)を購入しての鑑賞であったためか、画質は良好であった。
てぃだ

てぃだの感想・評価

3.8
最初こそ小津ぽくないと思ったけど後半やっぱ小津の世界ですごく安心した
初めてサイレント映画見た
90年も前の

なんともいえない緊張感が流れる。
手の動きをゆっくり見せているから?

音がないのに入り乱れる3人の心情がはっきり出てくるのはすごい。
背中が物語るものって

ドア開けたら帽子かぶってる旦那さんがいたシーン、目力が強くて思わず「かっこよ」と呟いてしまった
刑事さんが手を振っちゃうシーンがたまらん

このレビューはネタバレを含みます

これは最高に面白かった!まさかノアールみたいことをやってるとは全然知らなかったので、驚いた。電話のサスペンスとか、建物自体も洋風で話も洋な感じ。序盤の犯罪シーンの見せ方もキレキレでびびりました。手のクローズアップがブレッソンみたいだったなー。手のクローズアップが多いのだが、1番は刑事が手錠を弄んで、それをごとっと落として、岡田時彦が振り向いてギョッとしてるとこ。物をよく使ってる。手袋とか。ラストの岡田時彦と刑事が並んで歩いていくときの移動撮影ほんとに最高でした。八雲恵美子が二挺拳銃を刑事に対して構える姿もりりしかった!
私にはまだ早かったかもしれない。
例えるなら、コーヒーや煙草が香るような大人の映画だった。

奥ゆかしい妻が拳銃を手に対峙していたり、刑事は相手に一歩譲って待ったり、落ち着いた駆け引きが印象的だった。

イマドキのアクション映画のような切迫感はないせいか、退屈にさえ思えてしまうけど、全員揃ってせかせかと目的を遂行しているだけでは、野暮な印象だったと思う。

制作された時代を改めて考えると、事件現場も家の内装も、モダンだし、全体的にハイセンスだった。
Zorba

Zorbaの感想・評価

4.0
ショットで物語る推進力がハンパない。極力、字幕を排してキャラの心情を画面で語っている。

中でも、主人公宅に押し入った警官の心理描写が凄い。これでもかと小道具を使って、刑事が感情移入してしまう様を行動で描いている。特に揺り椅子とブランコ、帽子の使い方が印象的。前者は、それらを揺れ動かす事で視覚的に逮捕するか、見逃すかで揺れ動く心を表現。また後者は、逮捕すると決めた決意とその揺らぎを帽子を被る(=外に出る、連行)、脱ぐ(=外に出ない、迷っている)という動作のみで表している。お見事。

最後、病気の子供がそれまで一歩も出ることのなかったベッドから離され、窓より父親を見送るシーンも感動的。病の象徴であるベッドと分離され、快癒の象徴である開放された窓に連れてこられる。文字通り、病状の快方とその後の希望を感じられるいいラストでした。
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