rrriccoo

4分間のピアニストのrrriccooのネタバレレビュー・内容・結末

4分間のピアニスト(2006年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

「4分間のピアニスト」

以前「セッション」の感想書いた時に友人と意見が割れたっていう話をしましたが、今回も似たような話を。
なのでまた長くなりますがご容赦ください。


個人的には「セッション」も「4分間のピアニスト」も同じような(勿論細部は違うし、全く違うって意見もあると思いますけど)構成をしてるなと思います。
つまり才能ある若者と教師の対立、教師の追い求める“理想”と若者の求める“理想”の差(それは理想的な音楽の完成だったり、名声だったり、己の感性に従った自由だったり色々だけど)を其々の登場人物の背景を語りつつ全力でぶつけ合って、最後の演奏シーンで昇華するっていう流れ。(こう言うと元も子もないけど)
この全体の流れとしては嫌いじゃない。というか、音楽系の映画だと大抵はこんな流れじゃないんですかね?演奏者と指導者がメインで話が進む場合は。

で、「4分間のピアニスト」が万人向けじゃないのはたぶんドイツ映画らしく鬱屈としていて、少し戦争描写があったり、軽い気持ちで観られるかっていうとそうじゃないし、決着の着き方がいまいちわかりにくい所だと(ざっくり話すと)思う。
それはもう完全に向き不向きの話だししょうがないと思います。

で、以前友人と話して凄く面白かったのは、「セッション」と「4分間のピアニスト」で賛否の別れ方が其々で全く同じような事を言ってたこと。
つまりセッションで賛成派だった子は「ラストシーンで才能を爆発させた主人公ニーマンとフレッチャーが、あの一瞬一心同体になって音楽を作りあげたのが最高、それ以前のシーンは布石。」って言ってたのに対し、4分間のピアニストだと「ラストのクリューガーの行動がわからない。ずっと“完成された”ピアノを求めてたのにあれで良いのか?ジェニーの最後もいまいち掴めなかった。」という意見だった。

私は「4分間のピアニスト」で何が良いかって、クリューガーさんが“理想”を追いかけて、それが達成できるジェニーに期待をかけて、それ以外は無欲に規律正しく過ごしているんだけど、めちゃくちゃ迷いがある所。いっそ暴力的な才能を持つ問題児ジェニーを更生させよう、厳しく接して(周囲に正しく評価されるように)正しく生きてもらおうって思ってるのに情が湧いて、非情に接することができなくて、でも深く関わるのも怖い。と、いう積み重ねのもと大切に育てた愛弟子に最後最高の演奏とともに裏切られるんだけど、その才能と自由さ(奔放さ?)にひれ伏す?というか色んなことに…何と言ったらいいのか…決着をつけるんですね…この表現で良いのかよくわからないけども。
だからこそ最後の4分間の演奏が(勿論演奏自体素晴らしいけども)凄く活きてくるんだと思うんですよね。という意見です。

で、こうも綺麗に正反対の意見が出た理由について考えてみたけども、やっぱりいまいちわからない。
どちらかというと演奏者に近い感覚を持ってると「セッション」派、完全な鑑賞者の感覚だと「4分間のピアニスト」派なのかな、ぐらいの感想しか出ませんでした。要考察。

とりあえず最後の4分間は想像を絶するので是非観てもらいたい。
キャストとかについてももっと話したいけど流石に長すぎるので割愛。
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