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野火のTDのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.6
かなりの低予算で撮られたと言うのが撮り絵でもすぐにわかる作品。
それは画質や色調等に顕著に出ているけど、しかしそれだからと言って本作品の評価には全く影響しない。
極限状況での人の揺れ動き、その揺れが徐々に激しくなるに連れ観ている者もクラクラと目眩に近い感覚に襲われる。
ここのレビューでも「戦争の恐ろしさ」と言う表現を良く目にするが、決して戦争の恐ろしさを描いたものでは無いと思う。仮に舞台が「疫病と飢餓が蔓延した近未来」でも同じ事が十分起こりうる。故に「戦争のせい」と論評してしまうと、この作品の本質を見失いかねない。
しかし一番恐いのは戦地での極限状態では無く、そこから救われた「一線を越えてしまった」人間の日常。
この恐ろしさを塚本晋也が見事に演技、演出していた。
しかし戦地での病と飢餓の朦朧とした表情に関しては、目が沈んでる時と普通の時などムラがあり気になった。
中村達也、リリー・フランキーの演技は素晴らしく、特にリリー・フランキーは「凶悪」の先生役以上に「イヤ~~~なヤツ」感を見事に演じており見事。
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