ちろる

野火のちろるのレビュー・感想・評価

野火(2014年製作の映画)
3.8
壮絶。
8月15日はなるべく戦争関連を観るようにしているけれど、いままで見てきた戦争映画の中でも1番辛かったかも。
余分なエピソードは削ぎ落とされて、ただシンプルに「生」に執着し続ける人間の欲望がただ剥き出しに。
肺を患って生気のない田村が、死とは逆行して生きようとするにつれて目は血走り、正気を無くせば無くすほどに生を諦めない姿に私は何を感じればいいのだろうか。

生きようとする人間の生命力は神秘だ。
私は過酷な中でも生き抜こうとする人間を描いた作品で何度も涙を流してきたのに、こんなにも生き抜こうとする姿が目を背けたくなるなんて初めてだった。

一切のドラマ性を排して、ただひたすらに血と肉の生臭さが漂う映像からなぜか逃げられない、見届けなきゃいけないと思った。
戦争はごく普通の人間でさえ人間であることを忘れさせてしまう。
戦闘シーンはほとんどないけれど容赦なく
観る手側に客観視を許さない、恐ろしいほどの体感型反戦映画でありました。
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