1周目は話の方向性に着いて行くのでやっとで消化不良気味だったが、筋が分かった2周目はめちゃくちゃ良かった。メタファーだらけの短編小説のような印象。
気付いた時には自分を想ってくれていた人はいない、それでも…という話。生前の想いは主人公も観客もそれぞれが考えるしかない。今となっては「解釈」しかできない。それが切ない。
特に結婚とか同棲してると、グッと来る映画じゃないだろうか。知らず知らずのうちに積み重ねた無意識のコミュニケーション、背中越しの毛繕い。楽な方へ流れ、人間性を失ってしまった男が、無関心だった現実と少しずつ向き合い、自分を取り戻していく。
原題Demolition(破壊)に繋がる解体シーンはどれも面白いが(恐らくファイトクラブ的な「現代社会の欺瞞を叩き壊す」意味合いもあるだろう)、主人公の心境変化とのリンクがもう一つ弱く感じられたのが残念。
常に眠そうなギレンホールは夢遊病とか、社会から浮いちゃってる役が本当にハマる。単なる頑固オヤジに終始させないクリスクーパーの演技も効いている。74点。