アキラナウェイ

カリートの道のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

カリートの道(1993年製作の映画)
4.7
監督ブライアン・デ・パルマ
      ×
  主演アル・パチーノ

10年ぶり、「スカーフェイス」のコンビ再び。懸命に堅気の道に戻ろうとする元麻薬王の物語。

「スカーフェイス」のマシンガンぶっ放しシーンといい、「アンタッチャブル」の乳母車シーンといい、ブライアン・デ・パルマ監督作は、終盤に作品を特徴付ける程インパクトの強いド迫力シーンがあって好き。

元麻薬王のカリート(アル・パチーノ)は、親友の弁護士デイヴ(ショーン・ペン)の尽力によって、たった5年で刑務所から出所した。周囲はカリートの復帰を喜ぶが、彼はその期待をよそに、南国バハマでレンタカー屋を営むという夢に向け、堅気の道を歩もうとする—— 。

冒頭。天地無用、上下逆さま、縦だの横だの関係のないカメラワークに一気に惹き込まれる。

アル・パチーノによる、裁判所で独壇場ともいえる見事な演説に、すっかり魅せらてしまった。やっぱり凄い俳優だわ。

弁護士役のショーン・ペンがビックリする程ちりちりパーマ。小物感が随所に垣間見えるが、これもまた演技力の成せる技。

かつての恋人ゲイルの部屋に押し入ってのラブシーン。鏡を巧みに使った演出に舌を巻く。

色が象徴的。

危険を感じさせる赤い部屋。
雨が降る青い街並み。

抜け出したいけど、抜けられない。
カリートの道。
バハマの夢。
パラダイスの夢。
それは儚く消えていくと予見するゲイルと、口論になるカリートが鏡を割るシーンの差し迫った両者の演技がまた堪らない。

「夢は向こうから近づいてこない。
          追うんだよ」

宿命に抗い、真っ当に生きようとするカリートを、後先考えずに行動するデイヴが邪魔をする。

デイヴを見限り、彼をハメる為に彼の拳銃から予め抜いていた弾丸をゴミ箱に捨てるカリート。

 「アディオス、カウンセラー」
 (あばよ、弁護士さん)

くぅぅぅぅ!!
何というカッチョいいシーンなんだ!!
痺れまくる!!

ここから一気に面白さが畳み掛けてくる怒涛の展開。ゲイルとの待ち合わせに残された5時間。カリートは全てに片をつけて街を出られるのか…。

電車から、駅へ—— 。

這う様なカメラワークで迫る逃亡劇、エスカレーターでの銃撃戦が堪らなくスリリング!!

エスカレーターで寝転んで身を隠すカリート。映画では非常に長いエスカレーターに思えるが、実際はかなり短いんだとか。

これは神作キタ。ヤバい。

パラダイスの看板から、ゲイルのダンスに繋げるラストシーンまで神がかっているじゃないか。