みゅうちょび

ブルー・リベンジのみゅうちょびのレビュー・感想・評価

ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)
4.2
ミニマルで攻めてくる作品て大好き!
特に、多くを語らず、見せたい部分に必要な要素だけで、観るものの脳内で完成するみたいな?

ジェレミー・ソルニエ監督、そろそろ次の作品プリーズ!
「グリーンルーム」も「ホールドザダークそこにある闇」も大好きです!

青白い顔に伸ばし放題の髪と髭、車🚙で寝泊まりする主人公。ゴミを漁ってその日の食を賄う彼に両親を殺した犯人が釈放されると言う知らせが届く。そして彼は復讐のために動き出す。

きっと彼はこの日のことをたった1人孤独な車上生活で、繰り返し頭の中で計画を練っていたんだろうなー。その悲壮感が凄い。

髭を剃れば、ぽっちゃりしてオドオドした目にまだあどけなさすら感じるくらいの冴えない青年なんだよね。そんな普通の人間が、何年も頭の中だかで計画してきたことを憎しみだけに突き動かされて実行する様子がめちゃくちゃリアル。

思ったより簡単にことが運ぶかに見えるも、そんなはずない。

この物語に必要なのは、両親がどう殺されたとかそんなことじゃないのでその辺は全く語られないけれど、それがなにか事件に巻き込まれたとか犯罪組織とかそんなんではないのがまた凄く人間臭くて生々しいんだよね。

途中、思いつきで、主人公が頼る人物がいるんだけど、その彼との関係から醸し出される学生時代のつまはじき物同士の悲哀とか、なぜか運命的にそこに居合わせた物同士の情とか、めっちゃくちゃいいのですよ!!

この監督の得意とする、観てる側も唐突で防御不可能な絶妙なタイミングで起こる強烈であり、怖いとか思う隙もなく血の気が引くような暴力描写がほんと癖になる。

それを1番堪能できるのは難解映画「ホールドザダーク」ですねー。

見ようによっては呆気ない結末もむしろその余韻を楽しむ感覚がいいです。
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