このレビューはネタバレを含みます
短い作品だからという理由で再生。
マカロンやイチゴのショートケーキ。かわいいものを食べて、そんなかわいいもので自分はできている。で、気分が悪くなって吐く。過食症のキリコ(森川葵)。
同性にも好かれるかわいい感じではなくて、同性から嫌われるかわいさ。この感じを演じる森川葵がとてもいい。
“かわいくなりたい”という先に必ず男に好かれたいがある。
私は、人は自分の評価って、高めに設定していると思っている。でも、それを出すと嫌われるし、自信過剰って思われるから、謙遜している。自己評価低いという人も、他人への評価は厳しい。
キリコはかわいいと自覚し、まわりからもそう思われているということを知っている。
でも、本命の彼がいない。このメンタルが過食症にさせるのか。
キリコの対応はぶっ飛んでいるけど、かわいいと自覚している人は、その片鱗ぐらいはあるんじゃないかなと思わせるバランス。
いろんな男が出てくるけど、みんなにキリコは近づこうとするけど、キリコはまったく彼らの特別にならない。
世の中、容姿は大事だけど、容姿以上に大事なものはいっぱいある。
気まずい鍋のシーンで、キリコは敗北する。あの彼女めちゃくちゃいい人だった。
次の日、目覚めたキリコは自分の顔を鏡で見つめ、化粧もせず、着飾った格好もせずに自転車で街にでる。
そこですれ違う知らない男性に「きみかわいいね」と言われる。キリコが「はい!」とうれしそうに答え、自転車を漕ぎだす。
いいラストだった。
音楽の“ふぇのたす”って初めて知ったけど、よかった。