ごえもん

ローマに消えた男のごえもんのレビュー・感想・評価

ローマに消えた男(2013年製作の映画)
4.0
邦題が酷いシリーズ。
これは本当に酷い。

瓜二つな外見ながら、政治家と哲学者という別々の道を歩んできた双子が主人公。
二人ともダニエルを愛し、ダニエルも二人を愛したという過去から元来二人の性格は似ていたのだろう。
しかし、その過去を機転にそれぞれ性格のバランスを失ってしまう。
エンリコは本来のユーモアを、ジョバンニは常識を失った。
それが二人が入れ替わることでしがらみから自由になり、抑圧されていた本来の性格を取り戻し、二人が外見からも性格からも見分けがつかなくなるというのがラストなのだ。
そういう意味で自由万歳なのであり、二人が自由を謳歌する過程をユーモラスに描いているのがこの映画のおもしろであり、社会の抑圧から自由になった方が社会のためにも自分のためにもなるというのがメッセージなのに邦題だとただのミステリーになってしまう。
安易すぎる邦題は良い作品を潰すのでやめて欲しい。

ちなみに勝手に自由を謳歌する二人の裏で、与党や野党内、マスコミとの調整をこなし、一方でエンリコの妻を気遣い、万事無事に済ませるために奔走するアンドレアが物語のよい狂言回しぶりをしている。
組織で働いたことがあるならば、走り回った後死んだように車上で眠るあの姿に胸熱ではないだろうか。そして、裏方だからこその覗きぐせがラストまで笑えるし共感できる。
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