このレビューはネタバレを含みます
予想に反してショパンの音楽をふんだんにちりばめた映画ならでのはおだやかな時間が流れる作品。TSUTAYAは大人の味わいシネマのコーナーにおいてあったけど、なるほど。
みなまで言わず、行間で語る構図にあふれる。作品を通して感じる無常と隙間からこぼれるふたりの長年連れ添ったからこその想い合う気持ちがゆるりゆるり流れる。音楽講師のジョージがピアノを教えながら父母に手紙を綴るシーンは、彼の勇ましさと繊細さが垣間見えてじんわりする。
おじさんを軽視していたような甥っ子のジョーイが、おじさんのことばを受けて人生を動かすシーンで終わるのが渋い。夕焼けに照らされ、どこか自信を覗かせる彼の顔を見ていると、おじさんは個展ができなかろうが愛されていたし、芸術家に他ならなかっただんだなぁとしんみり。