アルベール・カミュ原作の映画ということで、「最初の人間」を思い出しながら観た。「最初の人間」は、空の青さが眩しい美しい街アルジェが舞台だったが、この作品の舞台は、同じアルジェリアでも草木もほとんど茂らない荒涼とした山岳地帯。映像の印象は全く異なる。それでも思い出してしまったのは、テーマが共通するから。生まれ育った土地で異邦人とされてしまう男のアイデンティティをめぐる葛藤。そして争うことの虚しさ。
あんな砂嵐が吹いていそうな、命のみずみずしさを感じることの難しい荒野で、「涙するまで、生きる」と決意することは決して容易ではない。
原題は「人里離れて」みたいな感じ(ぐーぐるさんだと英語にしかしてくれなかったけれど)のようだが、この邦題。素晴らしい。
ヴィゴ・モーテンセンに魅了された。マルチ・リンガル、マルチ・カルチャルな主人公にぴったりだ。