小波norisuke

おじいちゃんの里帰りの小波norisukeのレビュー・感想・評価

おじいちゃんの里帰り(2011年製作の映画)
4.0
トルコからドイツに移住したイルマズ家が、おじいちゃんの一言で一家総出でトルコに里帰りすることに。その道中で、おじいちゃんが家族と共に移民としてドイツに来た経緯が物語として語られていく。

おじいちゃんをはじめ、登場人物が皆、個性的で魅力があって、コミカルに話が進むのだが、少しせつない気持ちにもさせられる。

そして、今、自分がこうして一日を生きているのには、長い長い家族の歴史があって、ご先祖様の一日一日、悲喜こもごもがあったのだと壮大なことまで思わされて、暖かい気持ちになった。

未知の国へと引っ越す前に、周囲からいろいろな噂を聞かされ、びくつく一家が楽しい。特に、まだ小学生ぐらいの次男坊が友達から「ドイツでは、人間を十字架に磔にして飾ってあって、毎週日曜日に集まってその人間の血と肉を食べるらしい」と聞かされて、おののく様子に笑ってしまった。しかし、いざドイツに移ると子どもたちは新しい環境に適応するのが早く、クリスマスシーズンによく飾られる聖家族の人形(ドイツではクリッペと呼ぶらしい)を見て微笑み、両親に家でもクリスマスツリーの下にプレゼントを置いてほしいとねだるのが、かわいかった。イスラム教徒の両親はあまり意味がわからず、子どもたちの期待に沿えず、がっかりさせてしまうのだが、これは、仏教徒の両親が遅くに生んだ子どもであった私も、似たような経験があって共感してしまった。
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