小波norisuke

オデッセイの小波norisukeのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.0
火星にひとりだけ残されてしまった、マット・デイモン演じる主人公マーク・ワトニーが、どんな状況でも諦めず、常に前向きで、ユーモアを忘れない。その姿にとても励まされる。

マークの言葉がいつも愉しい。NASAと交信出来た時には、「死なないことを楽しみにしてるよ」。諦めたら死んでしまう、死と隣り合わせの状況にある「火星人(Martian)」からこんな言葉を受け取ったなら、地球人たちも奮起せざるをえないだろう。

火星を「植民」し、「宇宙海賊」になったと思えば、「世界最速人間」になり、最後は「アイアンマン」に。どんなに厳しい状況も、愉しい言葉に変えてしまう。そんな前向きな主人公に、マット・デイモンの誠実そうで明るい感じがよくはまっている。

細部は理解出来ないのだが、主人公が失敗も繰り返しながらも、知恵を絞り、工夫を凝らしてサバイバルする様子が面白い。地球人たちが、難しい判断を強いられながら奮闘する様子も興味深い。窮地を救ってくれるのが中国というのも何だかうなずける。

この映画で ゴールデン・グローブ賞のミュージカル・コメディ部門の主演男優賞を受賞したマット・デイモンが、「この映画はコメディなのか」と聞かれて、「ミュージカルさ」と答えたという。この答えが洒落ていて大好きだ。

もちろんミュージカルとは言い難いのだが、それでも音楽は確かにこの映画のとても重要な要素である。火星ひとりぼっちの状況で、ルイス船長(ジェシカ・チャテイン)の音楽の趣味を笑える余裕があるのが、この主人公のすごいところだ。だけど、確かに可笑しい。火星ひとりぼっちとディスコ・ミュージックの組み合わせ。人類の冒険の最先端で聴く、懐かしのサウンド。踊り狂う船長の姿が目に浮かんでしまう。何度も耳にしたことのある曲の歌詞が、改めて字幕で読むと、かなりえげつないことを知り驚いた。なのに、耳にこびりついて離れず、ついつい口ずさんでしまう。

気分を上げてくれる愉しい作品。3Dで観る価値があると思う。
小波norisuke

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