chako

わたしに会うまでの1600キロのchakoのレビュー・感想・評価

4.0
立ち上がれない程の重たい荷物を背負い、足の爪が剥がれても歩き続けた1600kmの道のり。

主人公シェリルを演じるリース・ウィザースプーンのあの細い体と対照的に大きなバックパックが印象的だった。
要らないものを捨てられない、そもそも何が必要で何が要らないかも分からない、整理しきれず重くなったバックパックは彼女の背負う暗く重い過去そのものみたいだと思った。

そして、フラッシュバックするように徐々に明らかになる彼女の過去。複雑な家庭環境、母親の死、夫との離婚、ドラッグ、セックス依存症。
そんな暗い過去の中でただ一つの明るくて、温かい母親との思い出。時に批判的に思う事もあったかもしれないけれど、いつも優しく陽気な母親は彼女にとって太陽のような存在だったのだろう。
セックスやドラッグに依存する気持ちは私には理解し難いし、過去の回想はなかなか過激なのではっきり言って観ていていい気はしない。けれど、そんな彼女が変わらなければと出た過酷な旅で、自分と向き合いながら歩き続ける彼女の姿にはとても好感が持てました。

リースの体を張った演技も注目だけど、リース同様アカデミー賞にノミネートされた母親役のローラ・ダーンの演技も素晴らしかった。

コメディからシリアスなものまでこなすリースの演技が私は以前から好きなんですが、本作といい、同じく今年公開された「グッド・ライ ーいちばん優しい嘘ー」といい、本当に幅広い女優さんだなと、ますます好きになりました。

それにしてもシェリルは回想シーンでは大学生、現在のシーンでは「2〜3年前まで大学生だった」と言っていたのでリースは一体何歳の役を演じているのだろうと思っていたら、原作では26歳というのに驚き。ちなみにリースご本人は現在39歳。大学生を演じるのはさすがに違和感を感じたけれど、まだまだお若いですね。
あの細くて程よく筋肉のついた足が羨ましい!
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