風の旅人

キャロルの風の旅人のレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
3.5
1950年代のアメリカ。
同性愛が社会的に認められていなかった時代。
クリスマス・シーズンの玩具売場でアルバイトをしていたテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを買いにきた美しい婦人キャロル(ケイト・ブランシェット)と出逢う。
キャロルの忘れた手袋をテレーズが届け、そのお礼にキャロルがテレーズを食事に誘ったことから二人の交際は始まる。

出逢いの場面で、テレーズは玩具売場の入口にいるキャロルを「見つめる」が、キャロルはテレーズの存在に気づいていない。
そしてテレーズが他の客に気を取られ視線を外したとき、キャロルはテレーズの前に現れ声をかける。
このとき二人は店員と客の関係で、一方的に「見つめる」だけだ。
それがラスト・シークエンスでは、オークルームの会食に現れたテレーズが席に座るキャロルに近づき、それに気づいたキャロルと固有名を持った存在として「見つめ合う」。
この変化に至る過程を丁寧に描写したトッド・ヘインズ監督の演出が素晴らしい。
ケイト・ブランシェットの指先までエレガントな佇まい、ルーニー・マーラのイノセントな表情が印象に残った。
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