マフィアの金を巡る陰謀に巻き込まれた男が、生き残る為に駆け引きを繰り広げる姿を描いたクライムサスペンス作品。
ブルックリンでバーを営みながらマフィアの金を預かる闇銀行を請け負っているボブとマーヴ。ある日、強盗に銃を突き付けられた2人はマフィアの大金を渡してしまう。2人は奪われた金を取り戻すために動き出すが、数日後、何者かが強盗と思しき人物の腕と一緒に金を戻してくる。その頃ボブは、捨て犬を拾ったことでナディアという女性と知り合うが、彼女と何らかの関係がありそうな不審な男に…
『汚れた金を巡る、命を賭けた戦い…』
脚本が巧妙とは言い難いが、トム・ハーディの演技と作品の雰囲気が素晴らしいクライムサスペンスです。悪であろうが裏社会で生きて行く為に常に要求されるのは、冷静さとキレる頭脳と運。絆や人情を重んじるのも必要不可欠だが、時に重荷となり身を滅ぼす。理想はあるけれど多くを望まず、目立たずただ平凡に慎ましく生きる男に垣間見える血の臭いに興味が湧き目が離せなくなる。
寡黙で不器用な男が魅せる哀愁の漂う背中と底なしの懐の深さを楽しめる作品でした。