やり手広告マンのサムは息子ジョシュと待合せをしていたスポーツバーのテレビでジョシュの大学で銃乱射事件が発生したことを知る。
2年後。銃乱射事件でひとり息子を失ったサムは離婚し会社も辞めて荒んだ生活を送っていた。
【ネタバレあります。】
ある日、別れた妻がジョシュが使っていたギターと、ジョシュが録り溜めていた自作曲のデモ音源と歌詞ノートを持ってくる。ジョシュが音楽が好きになったのはあなたの影響だからあなたが持っていた方がいいと思うと。
ジョシュの曲を弾いてみるサム。息子の事をもっとよく知りたくてジョシュの曲を毎日歌う。
ある晩ライブバーで飛び入りでジョシュの曲を演奏する。以来ライブを行うようになる。
ライブを聞いて曲を気に入ったロック青年のクエンティンはサムに一緒にバンドをしようと持ちかける。最初は渋っていたサムだったがジョシュと同じ年頃のクエンティンの熱意に負けてバンドをすることになった。
バンドは評判となり人気が出るがサムはクエンティンとバンドをすることに悩んでいた。
サムには誰にも明かせない秘密があったのだ。
【ここからラストまで完全ネタバレします。未見の方は読まないで下さい。】
実はサムの息子は乱射事件の被害者ではなく犯人だった。
クエンティン始めバンドメンバーはジョシュが乱射事件の被害者だと思っていたのだ。サムの事も息子を失った被害者の父だと思って接してきたのだ。
息子が加害者だということをサムが言わず黙っていたことにメンバーたちは怒り、去っていった。
皆が誤解したままである事をずっと悩んではいたが言い出せなかったのだ。
また荒んだ生活に戻るサム。
やがて立ち直って1人でステージに立つサムの姿があった。end
監督は俳優で監督のウィリアム・H・メイシー。これが初監督作だ。ジョシュの作った曲として出てくる曲はどれも鬱屈、混乱、孤独が感じられると同時に、シニカルなユーモアが宿っていて見事なのだが監督がいかにもジョシュが作ったっぽい曲を作ってくれとサイモン・ステッドマンとチャールトン・ペッタスに依頼。彼らが元々持っていた曲と新たに作られたオリジナル曲で構成されている。曲がすごく良くて映画をより良いものにしたと思う。
サムの妻役のフェリシティ・ハフマンは監督の実生活での妻である。
クエンティン役のアントン・イェルチンはこの映画の3年後事故により若くして亡くなっている。本作の1年前にイェルチン主演の
『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』は素晴らしいので是非!アントン・イェルチンの作品としてはオッドトーマスの方が好きです。
主演ではないですが
『アトランティスの心』も良きです。主役のアンソニー・ホプキンスと不思議な能力を持つ少年の関わりを描く映画ですが、少年を子役時代のアントン・イェルチンが演じていて凄くいいです。こちらも是非!