りえぞう

フィフス・シーズン 春の来ない村のりえぞうのレビュー・感想・評価

3.5
気持ちが落ちている時になぜこの映画をセレクトしたのか、自分でも謎ですが観ました。

最後まで鑑賞できたのは、絵画のような映像美に魅せられたからかな。
引いた構図、長回し、無表情の登場人物の静止画、常に曇り空で灰色がかった色彩、耳に残るホーンの音。
淡々とした演出でとことん絶望的、そして芸術的。

ストーリーはベルギーの小さな村が舞台。恒例の冬祭りがうまくいかず、それからというもの、作物の種は芽を出さず、牛の乳も出ず、養蜂の蜂も死に、家畜を奪われ、村民はたちまち極貧状況に置かれてしまう。
この不満があるものに向けられてしまうのだが…それが狂気。
集団心理の怖さである。

厳しい1年が過ぎ、フィフス・シーズンがどんな季節になるのかは見る側の解釈に委ねられる。
映画の中で様々な鳥が象徴的に登場しているが、ラストはやはり村民を表現しているのかなと意味深な映像で、最後まで衝撃的だった。
りえぞう

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