MikiMickle

ハッピーボイス・キラーのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)
4.0
監督はマルジャン・サトラピ。 イラン出身の女性監督。

バスタブ工場で働くジェリー(ライアン・レイノルズ)。
彼は飼い犬と飼い猫なんかの動物とお話が出来ちゃう♪
正義の犬ボスコと、悪魔的に毒舌を吐く猫のMr.ウィスカー。
でも、なにやら心に闇を抱えていて、精神科に通い、何かから立ち直ろうとしている。
そんな時、恋する経理係のフィオナ(ジェマ・アータートン)にデートをすっぽかされ、でもまた良い感じになったのに、間違って彼女を刺しちゃうっ‼ うげうげ血を吐くフィオナを 「ごめんよ、ごめんよぉ~‼」って言いながら、ぐっさぐさ刺しちゃう(笑)
家に帰ったジェリーは、「警察に行くべきだワン」っていう犬の声でなく、「事故だなんてあれだれ刺しといてムショ行きはまぬがれないぞ、男どもに何年もほられるぞ。隠蔽工作しなきゃだめだにゃ~」との猫の声に従い、フィオナを運び、丁寧にタッパーに小分けして、その頭を冷蔵庫にin すると、フィオナヘッドもお喋り始めますよっ♪←ここら辺のシーン、最高に笑える!
そんな中、フィオナの同僚のリサ(アナ・ケンドリクス)はジェリーに好意を持ち…

最初はポップでキュートな感じのコメディ♪
工場のテーマカラーがかわいいピンクだし、
すっぽかされた店の、似せ口パクアジアンプレスリーとか偽ブルース・リーとかウケる

かと思いきや、事態はどんどん悪化していき、そのポップの中にブラックと狂気が入り交じってきます…

ジェリー、処方されたお薬を飲まない。
なぜ薬を飲まないのか、それは現実が見えてしまうから…美しい世界にいられなくなるから…
一度薬を飲むんだけど、その時に見る光景がかなりきつい‼
なので、その後に楽しいポップな雰囲気でも、その時に垣間見た現実を想像してしまって、恐いし切ないし不気味。
直接的な残酷描写があるわけではないのに、その想像で、見ていてとても複雑な気分になる。
重い……

そして、胸も苦しくなる
なぜなら、ジェリーが純粋であるから。
デートすっぽかされてポロポロ泣いちゃう。
恋する「泣き虫バッハ」なんだもんw←子供の時のあだ名。ドイツ生まれだから。もひとつはソーセージ坊やw
壊れたボンネットを工場の段ボールとピンクのテープで直してたり、なんだか可愛らしい。
彼の過去も切ない…

精神分裂症のサイコさんの頭の中を覗いた映画‼
何を考えて、どう展開していくのか、よくわかる‼
ポップで楽しく可愛らしくあり、孤独と狂気とブラックユーモアとシリアスで恐ろしくもあるサスペンスであり、『アメリ』のような現実と幻想を行き来するものでもあり、
なんともなんとも不思議で独特で、カオティックな映画です‼

悪の声・善の声、誰しもが持つ二面性。『アメリカン・サイコ』でもその二面性が、『マニアック』ではその葛藤がでていたけど、それをこういったカオスで描いているのは、それだけで面白い。
サイコさんをコメディタッチで描いた映画はあれど(『シリアル・ママ』とか)、ここまでカオスなのはあんまりないかも。ほんと独特。

これを見ている時の私の表情、コロコロ変わってた‼ うわぁ…ってなり、ニコニコになり、笑い、真剣に考え、で、なんじゃこりゃ~‼のエンドロール‼「sing a happy song」‼ こんなにダサくて最高のエンドロールは見たことない。 口、あんぐりからのニヤニヤ~
で、次の曲での「give me a hug」の歌詞… 泣けるし…

エンドロールを見ていたら、犬も猫の声もライアン・レイノルズ‼すごい‼ 彼の演技、良かったなぁ~♪ 真剣な顔してるのに笑っちゃう なのに突然怖い。
アナ・ケンドリクスはエンドロールで美声をさらしてくれるも、隣のジェマ・アータートンと比べて大きい頭と短い足がださくて可愛らしい。ちょっとうざい恋する乙女役がはまってた。

sing a happy song, sing a happy song~♪♪♪ 歌って踊りたい♪ ほんと、これ、「なんじゃこりゃ~~~~‼‼どひゃぁ~~‼‼」映画でしたっ
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