KOUSAKA

湖の見知らぬ男のKOUSAKAのネタバレレビュー・内容・結末

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

あんなにアレを何本も見せられたら、最初に感じた衝撃がだんだん緩和されてきて、最終的にはすっかり慣れてしまった😆

舞台となるハッテン場の湖面と山々の緑が、まるでこの映画の主役のように美しく映し出されるからこそ、その中でくんずほぐれつ蠢くゲイの男たちの姿がどこか俯瞰的に見えて、あれだけ生々しい性描写を見せられても「ただの生理現象」や「人間の営みの一つ」という感じに見える。だからこそ死体が発見されるという事件が起こっても、人間のライフサイクルの中の小さな1点にしか見えなかったのが興味深かったです。

しかもこのハッテン場では、ゲイ同士がお互いの素性に深入りしないという習慣があるため、警察がどれだけ足を使って捜査や聞き取りをしても、核心に迫るような情報に辿り着かず「暖簾に腕押し」のような状態が続いてしまうというのも、ミステリー的な観点からこのハッテン場ならではの特性が活かされていて、上手い!と思いました。

最後はフランクがミシェルに追いかけられるが、暗闇の中いつの間にか見失い、逆にフランクが「ミシェル!ミシェル!」と追い求めてさまよう。こんな真っ暗な時間が続くラストシーンってあんまり見たことない😵

暗闇と静寂の中、聴覚だけを研ぎ澄ませてかすかな音にも耳を傾けようとした瞬間に、映画は終わりました。このあとフランクはミシェルに見つかって殺されるのか、それとも2人はミシェルの罪という「秘密」を背負って墓場まで持っていくのか。妄想が掻き立てられるラストでした。
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