湖の見知らぬ男の作品情報・感想・評価

「湖の見知らぬ男」に投稿された感想・評価

atsu

atsuの感想・評価

3.9
開放感があって気持ち良さそうな湖だけど、何か水面がたまに落ち着かない表情をみせて、何かドキドキする。自然なヌードと性描写も良かったし、危険な男を好きになるのはいつもアブナイ感じ。海外では観れるのに日本ではあまりみかけない。良作だと思う。
確かに不思議な魅力のある作品だけど、過去の作品を見た後だとギロディーいつもホモ映画ばっか撮ってんなと少し辟易
カイエ・ドゥ・シネマ週間in福岡
アンスティチュフランセ九州にて
籠

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3.9
2017年164本目 旧作外国映画31本目 1,200/130,350

ギロディの過去作と最新作を挟んで嫌な印象しかなかったユーロ以来で久しぶりに観ると前回感じた記憶は一体何だったのかと思う位にひたすら美しい映像の集合体として受け入れることが出来た。殺人含む行為すべてがこのように現実的に描かれたことはあったろうか?露出による強い決意表明が次作の飛躍に繋がっていたのだった。
CHEBUNBUN

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3.7
【「湖の見知らぬ男」感想】
カイエ・ドゥ・シネマ週間で観られなかったので、購入しました。東京国際映画祭の矢田部ディレクターが激推しするものの、映画祭上映を諦めた曰くつきの作品。

残念ながら、アラン・ギロディ監督が日本公開する条件としてモザイクなしを提示しているので、アンスティチュフランセ以外で観るのは不可能に近い作品となっている。

閑話休題、本作はLGBT映画で激しく、人によっては気持ち悪くなるような性交シーンがある。しかし、非常に美しい。まるで、三島由紀夫の小説を読んでいるかのような「美」に溢れた作品だった。

ストーリーは、
同性愛者の楽園である湖で、殺人事件が発生。とある男に恋したフランクは、ひょっとしてその男が殺人したのではないかと猜疑心を抱くというもの。

まず、面白いのはアラン・ギロディ自身が同性愛者ということもあり、目線と空間を使った愛表現が非常に上手い。私も大学時代に今はなき、ピンク映画館・くらら劇場で男がハッテンしている状況を見ている。私自身、男に狙われたこともある。空間を詰めたり、熱い目線を送ったりする様子は等身大であった。

次に、森と湖の対比が素晴らしい。男が情事に励む際、人目を逃れるかのように森という闇に消える。森はブラックボックスで、人の欲望が蠢いている。湖が光り輝く美しさを放っているだけに、森が強調され、人間の心の暗部、大事な人以外には知られてはいけない心を見事に象徴させていた。

アラン・ギロディファンの評価に対し、私は「キング・オブ・エスケープ」派なのだが、それでも美しいきサスペンス、美しきラブストーリーでした。

彼の「垂直のままに」は5月にDVDが発売(もちろん海外版)されるらしいので、これは買いたいところ。
masaakib

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5.0
3回目の鑑賞。
湖の怪しい人たち。
舞台を湖とその周辺に区切り、微妙な差異を交えながら、劇映画として成り立つギリギリの境界を維持しつつ、シーンを反復させ、完璧な、あるいは、非の打ち所がないと形容できるような、ミニマルな映画を作りあげた、というところですか。
ずっと見たかった映画!

ハッテン場を舞台に"他者"とのコミュニティを描いた作品。

性行為はするけど家で一緒に過ごしたり食事をしようとしない関係

一緒に話すのは好きだけど性行為はしない関係

ある殺人事件をきっかけにそれぞれの関係が露わになっていくのも興味深いテーマ

自然の中で描かれる性表現も大胆で美しかった。ぼかし無しでこれほどまでにペニスが映し出されてる映画も珍しいのかな。日本でDVD化されてないのが惜しい、、、甘美で素晴らしかった。
素晴らしくて震えた。

大きな湖の片側はゲイのハッテン場。ロマンを求めて湖岸の水辺に来るまだ若い地元の青年フランク。舞台はこの湖岸のみ。そこでの馴染みや出逢う人たちとの、見知ってるけど知らない人たちとの関係性のみ。皆、自動車で来る距離、気になる相手とヤレる森もある。
わざわざこんな場所で一時の性行為を求める人たちは、他人に知られたくない訳ありで孤独な人たちが多いようにも見える。それでも青年は愛を求め、ある男ミシェルに惹かれてしまう。名前しか知らない。危険な男かもしれないけれど、性愛が彼の内を占める。
青年フランクに好意を抱いた孤独な中年男アンリとの交流は居心地の良い友愛、でもバイセクシャルのアンリの方には嫉妬心があったのかもしれない。いや、孤独な彼にはそれだけではなかったのかも。アンリさんが可愛くて仕方がない。
孤独なアンリにはもしかすると欲望はあったのではと思われるけど、そのフランクとの友愛の関係は悲しくも穏やかで秀逸。アンリの抱える闇にも心打たれるけど、闇の中で危険かもしれないミシェルを求めるフランクにも衝撃を受けた。

湖にさざめく波が美しく、官能を煽る。その愛に恐れながらも打ち寄せられる。
遠目ではっきりとはわからなかったかもしれないけど、フランクには解っていたはず。彼は進んでミシェルと共犯関係に陥ったように思える。愛してくれると信じたのだろうなあ。
ただそのまま消えれば良かったのに、ミシェルはフランクの元に留まるのだ。そこに愛が無いとは言い切れない。説明的なものは一切無い、けれど、愛を求める孤独な心は感じられる。彼らの心は擦れ違い、闇にまぎれて見えなくなってしまうのだ。
象煮

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4.0
男漁りにきてるのにそれぞれ別の方向向いて知らんぷりしてる車と誰かが死んだことなんてひとごとみたいにぽよぽよしてる金玉と名前も知らない誰かとするセックスの緊迫感と みんな孤独でみんな誰かと繋がっていたい。後光と陰の撮り方がとても美しかった。
ディスコミュニケーションの時代にあって我々は他者とどう繋がるか?言葉と肉体、セックスを駆使しながら、形のない曖昧で不確かな『繋がっている』という感覚を求める男たちの姿は、描写が過激であればあるほどより切実に我々のこととして胸に迫る。
舞台となる湖で同じ空間にいながら微妙な距離で点在する男たちは、まるで別の惑星に一人取り残されたかのような絶望的なまでの孤独を滲ませ、目の前の湖(これが海ならどこまでも開けているのだが)の閉じた様の、勇気を出して泳ぎ出せば繋がりたい相手に届く(それでいてその想いは交わらない)その中途半端な感じと共に、それをただ見つめるしかないところも切なかった。
恐怖心で暗闇に身を潜めながら、それでも相手を希求し名前を呼び続ける主人公の顔が闇に溶けて見えないラスト。その闇が永遠に続くように思えてどうにも居たたまれないのに、そこから目を背けることもできない自分もまた彼等と同じ孤独な惑星の住人なんだと思った。
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