ヤグ

ドクター・ストレンジのヤグのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
3.4
『その男、上から目線の天才外科医』

【あらすじ】
ドクター・ストレンジは、天賦の才能を持つ脳外科医として名をはせていたが、傲慢さが玉にきずだった。彼は地位も名誉もリッチな生活も手に入れていたが、交通事故によって全てをなくしてしまう。神の手と崇拝された両手の機能を取り戻すため、高額な治療を繰り返す中、やがて神秘に満ちた魔術の力へとたどり着く。魔術の修行に励むストレンジは、強大な敵との戦いに巻き込まれていき、医師として相手を傷つけることに苦悩し、外科医に戻るか最強の魔術師として戦う道に進むかの選択を迫られる。

【感想】
この映画の魅力である魔術世界の映像は街が分裂したり、重力の方向が変わったりするなど映像が単調ではない分、飽きがこず、楽しめた。
また浮遊マントとドクターのやり取りが面白く、動物ではないにもかかわらず、とてもかわいかった。
この映画は全体的にドクターの葛藤するシーンが少なく、かつテンポよく話が進むものだからドクターの成長をあまり感じられず、淡々としたストーリーだったし、テーマもあやふやとした印象だった。特にこの映画のテーマの一つである「たとえ敵であっても医師として傷つけていいのかどうか」をドクターが苦悩するのだが、その苦悩するシーンが少なすぎて、薄っぺらく感じてしまった。個人的には面白いテーマだったため、もう少し掘り下げて欲しかった。このテーマを抱えた状態でラスボスとの戦いに挑むわけだが、そのときにドクターが取った行動は納得できないこともないけど、あまりにお粗末でもう少し違うやり方はないのかと思った。
また一度成功を収めた人間が大きな挫折を味わい、努力してまた新たな成功をつかみ取るというテーマもこの映画に込められているが、それも薄っぺらく感じた。とにかく話のテンポが早く、特に魔術の修行しているシーンは割愛されすぎて、気づけばドクターが魔術を使えるようになっていた印象がある。厳しい修行に耐えるシーンやエンシェント・ワンとの修行のシーンをもう少し増やして努力する過程を丁寧に描いて欲しかった。
ただドクターはキャラクターとして魅力的であるため、次回作も楽しみだ。

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