Violet

博士と彼女のセオリーのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

まず、わたしは「博士と彼女のセオリー」という邦題と、このビジュアルを見て勝手にALSを患った恋人とそれを献身的に支える彼女の超純愛的なものを想像していたので、「やっぱり現実はそう甘くはないよね」と、見終わった後になんとなくずーんとした感情が残ってしまったので、評価はあまり高くないです。

ジェーンも本当に辛かったと思う。ホーキング博士の実家からは家風が合わずになかなか受け入れてもらえないし、第3子をジョナサンの子供と疑われるし、ホーキング博士が著名人だからこそ周囲の視線やマスコミがひどく気になる。そんな中でもホーキング博士を献身的に看病し続けた彼女は本当に強く優しい女性だと思う。ただ、ジェーンがジョナサンにお手伝いをお願いしてから、だんだんと2人が惹かれあっていくことをホーキング博士が感じ取っていく過程がわたしにはとてもとても辛く切なかったのです...。
けれど、逆にこのリアルさが良い!という声が多く上がるのも良くわかる。

本作で最も賞賛すべきはエディの演技。
この作品の役作りのため相当作り込んだ(関節の動かし方をダンサーに学んだり、40人のALS患者と実際に会ったりetc...)という裏話が語られるが、そんな裏話を聞かなくともエディが計り知れない調査と努力を重ねてホーキング博士の役を演じていたことがわかる。
体が思うように動かず、うまく声が出せなくなるシーンは最早演技ということを忘れたほどだった。

While there is life, there is hope.
命がある限り、希望はある。
難病であるALSを患ったにも関わらず、ユーモアを忘れず、そして努力し続けたホーキング博士には頭が上がらない。
彼の口から語られた言葉は、何よりも重みがある。

関係ないけどブラックホールの理論とか特異点とか、最近インターステラー観たから理解できる部分もあって嬉しかった☺️笑
あとBrian役のHarry Lloydがかっこよかった🥺


母の親しい友人がALSになり、その友人は2年も経たずに亡くなってしまった。その友人のお母さんもALSで早くに亡くなっているのだが、何十年も前にそのお母さんが使っていた薬と、母の友人が使った薬が全く同じだったということが衝撃だった。難病指定のALSは未だにその原因も治療法も明らかになっていない。仕事前にいつもその友人のお見舞いに行っていた母が、日に日に筋力が衰えていく友人の姿を見ながら「あんなに辛い病気はない」と涙を流していたことが忘れられない。どうか早くこの病気が治せる時代が訪れますように。
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