筋萎縮性側索硬化症(ALS)を扱った映画だと、ドキュメンタリーの「ギフト 僕がきみに残せるもの」を推したい。涙腺ダム決壊間違いなし。
こういう作品を観るといつも、指1本動かせる事が既に幸せなんだと気付かされる。
弁護士であるエヴァンの妻ケイト(ヒラリー・スワンク)は、35歳の誕生日パーティーでピアノを弾いた時、指の動きに異変を感じる。彼女は難病のALSであると診断され、1年半後には車椅子生活に。
ケイトが介護士として雇ったのは大学生のベック(エミー・ロッサム)。料理もまともに作れず、夜遊びばかりのベックとケイトは当初反りが合わず、事ある毎に衝突していたが—— 。
難病患者と破天荒な介護士という構成は「最強のふたり」パターン。(あちらは頸髄損傷)
それが女性同士となると、また趣きが違う。
次第に絆を深めていく2人。
より深い所で繋がり合っている様に見えるのは、女性ならでは。
ヒラリー・スワンクの演技にはひたすら感服。手首や足首を頑なに押し曲げ、動き辛くなった舌で喋る姿には圧倒されっぱなし。
裏表がなく、あっけらかんとしたベックを演じるエミー・ロッサムが堪らなくキュート。もはや誰も聴き取れなくなってしまったケイトの言葉を同時通訳する姿に、2人が如何に心を通わせてきたかが窺える。
管に繋がれて生きる事より
自分らしく幕を下ろす事を望んだケイト。
迎える最期の刻は涙なしでは観れませぬ。
"私を最後まで信じてくれてありがとう。
そんな人、生まれて初めてだった。"
ベックの言葉が胸に沁む。
ラストシーン、ケイトから貰った青いヒールを履いて、歌うベック。素敵な靴は素敵な場所に連れて行ってくれる。
王道と言えば王道のストーリーだけど、自由が効かなくなっていくALSという難病を取り扱っているからこそ、感動も奥深い。