コマミー

追憶と、踊りながらのコマミーのレビュー・感想・評価

追憶と、踊りながら(2014年製作の映画)
4.0
【ジェンダーへの理解と言葉の壁】


[気まぐれ映画レビューNo.138]




これは好きな組み合わせの作品だった。

今週「モンスーン」が公開される、"ホン・カウ"と言う監督の作品だ。
今や世界的な課題となっている"ジェンダー問題"。本作はそこに"言葉の壁"や"文化の違い"と言う、2つの問題に着目した作品でもあるのだ。

作風的にはゆったりとしているのだが、先程も書いた通り複数の壁に立ちはだかる物語となる為、結構辛いものとなっている。ジェンダーへの意識と文化の違いが交差する事によって、主人公である2人の思いがまるで変わってくる事がとても魅力的だった。辛い描写でもあるのだが。
"カイ"と言う中国人青年と恋人同士の"リチャード"を演じた"ベン・ウィショー"もゲイである事を公表し、同性婚もしている。だからこそ、"自然体"で演じる事が出来、ジェンダーに対する姿勢を真っ先に感じ取れる演技であったと思う。

雰囲気も本作で伝えていることも全てがとても自分好みの作品だった。性を中心に描く確執と、そこから花を咲かせる物語として個人的には完璧な描き方であると思う。
これも、ジェンダーに対する考えが深いベン・ウィショーの参加と、中国映画のような飾らない雰囲気、そしてそんな静寂な雰囲気を包みこむ"切実な描き方"と言う、3つの要素の配合による賜物であると感じた。

より多くの人に観てもらいたい作品です。
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