このレビューはネタバレを含みます
今作は、科学に対する希望的観測に満ちている。
マット・デイモン演じるマークが火星に一人取り残され、基地に戻ってから自分の置かれた状況をすぐに理解し、イモを育てるために土や肥料を育てるのも、火星の風土をある程度分析できている事が前提にあるし、現実にはその莫大な費用の使い方が問題視されるであろうロケットも一人の生を救うためにあっさり飛ぶ。
つまり地球の科学は、別の星の摂理も掌握することができるだろう.
英知を結集すれば不可能なものは何もないという、ひとつのロマンがある。半ば唐突に出てきた中国のチームとも大きな軋轢もなく協力関係を築く。まるで科学の下では一つになれるといわんばかりに。
その楽天性にいまひとつ乗り切れなかったが、基地(とその周辺)という、ほぼ密室劇に近い状況を成立させたマット・デイモンの演技、火星の風景を模した生々しい岩肌や砂漠をダイナミックに捉えたリドリー・スコットの映像、そしてでデヴィッド・ボウイのstarmanには魅了された。