律

パレードへようこその律のレビュー・感想・評価

パレードへようこそ(2014年製作の映画)
4.2
実話をもとにした作品、とのことで、当時についてもっときちんとわかっていれば良かったなと思いつつ、それでも面白く、120分あっという間だった。
最後のプライドパレードは泣けてしまった。

差別的などうしようもない人がいて、120分を通してその言動や行動にガリガリと心を削られる思いだったけど、連帯の希望は、本当に希望だった。
声を上げなければ、お行儀よくしているだけでは、権利は手元に取り戻せない。
抑圧されているもの同士が助け合い、連帯は決して一方通行ではなく、距離があっても当事者でなくても相手の力になれるのだという希望は心強いものだった。

ただもちろん、連帯と一口に言ってもそんなに簡単な話ではなく…(たとえばLGSMの内部にしたってレズビアンの分派ができたのも、同性愛の中でもゲイとレズビアン間の不均衡が原因だろうし)、連帯の名の下に、その集団内でより弱い立場の者の口を塞いだり、排除してりするようなことがないように、という視点も忘れてはいけないと、肝に銘じたい。

グウェン(電話を取ったおばあちゃん)が、ステラとゾーイのレズビアンカップルと話をして、彼女たちがヴィーガンであることを知り、プライドパレードに菜食料理を持って駆けつけてふたりと料理の話をするシーンが良かった。
あと、詩を好むクリフが、「自分の旗」をプライドパレードで見つけて、旗の元に行って旗を持っている人と話をするシーンも泣いてしまった。
へフィーナやシャーンも格好良かったし、ジョーが家から出るシーンも印象的だった。(姉さんの夫は姉さんにふさわしくない、とホモフォビアな義兄を批判する発言して自ら出て行ったのが、色々な人との経験を通して変化したジョーをよく現しているな、と。)

邦題とジャケット写真の印象で、なんとなく見ないままになっていたけれど、もっと早く見れば良かったなと思った。
律