律

恋人はアンバーの律のネタバレレビュー・内容・結末

恋人はアンバー(2020年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

途中まではよかったんだけど…という作品。

1995年のアイルランドが舞台ということで、強制的異性愛規範と制度がまだまだ色濃く残る中で生きるゲイとレズビアンの高校生が主人公たち。
学校の雰囲気や、何かあるとすぐに住民全員に知られてしまいあれこれ言われる社会(アンバーがレズビアンと知られてからは近所の人に十字架切られるような仕草をされてる。)は胸にくるものがあり、同性愛者の2人はどんなにストレスフルで苦痛だっただろうと思う。
映画で当時を振り返りつつ現代を見ると、やはり制度が人の意識を変える部分は大きい気がする。制度を整備することで、社会の当たり前から差別をなくしていきたいもの。

アンバーは、息苦しい環境の中でも自分の中に芯を持っていて、将来の夢のために貯金をしている子。エディは規範からなかなか抜け出せずにほぼ最後の方まで苦しむことになるのだけど、この2人の生存戦略のためから始まったカップル関係が、苦しい現実とコメディ部分が良い塩梅で、段々とお互いが大事な存在になっていく過程は微笑ましかった。

と、途中まではそれなりに楽しく観ていたのだけど、わりと最後の数分で「そんな着地の仕方なの!?」と思ってしまい、モヤモヤしたままエンドロールを眺める羽目になった。
地元から都会に出ることだけが、正解じゃない、クィアの生き方もそれぞれ、なのは前提として、あの話の流れで、町を出るための貯金を全部エディに渡して「私は行けない」とエディを見送り地元に残るアンバーはちょっとそりゃないよ…というやり切れない気持ちになってしまった。
あの話の流れなら、アンバーは外に行って欲しかった。ロンドンでジンを作ってるアンバーを見たかった。
律