爆裂BOX

30デイズ・ナイトの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

30デイズ・ナイト(2007年製作の映画)
3.5
中々日本に入ってこずやっと公開されたと思ったらDVDの発売日が延期されて待たされに待たされた作品ですが、評判が余り良くないので過度に期待せずに鑑賞しましたが・・・「普通だな~」という印象です。
30日間太陽が上らない「極夜」が訪れたアラスカの小さな町バロウで飼い犬が惨殺されたり電話が不通になったり停電などが起きる。保安官エバンは原因を探るが、全てはこの町を狩場に定めたヴァンパイアたちの仕業だったというストーリーです。脚本でも参加しているスティーヴ・ナイルズの同名コミックが原作です。
「ヴァンパイアの襲撃を受けた極夜の町での30日間のサバイバル」という設定はかなり面白いんですが、レビューでも指摘されてる様に時間経過の描き方が下手で何だか一夜の話のように思えました。「7日」や「28日」等字幕で時間経過が語られる割に登場人物が髭が生えたりしたぐらいであまり変わらないので「本当にそんなに時間が経過してるのか?」と思ってしまいました。もっと燃料や食料が不足したりする様な描写が有ればよかったんですが。「ここからもっと安全な場所に行こう!」というちょっとした諍いはあれど、食料不足が理由による諍いなどはありませんでしたね。30日の籠城サバイバル描くなら普通そういう描写入れそうだけど。
後、基本的に屋根裏に立てこもっての展開が多いのでちょっと冗長に感じる所もありました。もっと生存者同士の諍い等も盛り込んでも良かったのでは。ボケた爺さんが騒ぎ出して勝手に出て行って追い掛けて外出た息子を止めようとするくらいしかトラブル起きなかったな。
ヴァンパイアのボスはミスキャストだと思います。何か普通のおっさんといった感じで、迫力がありませんでした。もっと闇に生きる一族の長の威厳を感じさせる俳優を使えばよかったのに(じゃあ、誰が良いかと聞かれても思い付きませんが)
主人公エバンの同僚ビリーが現れるけど、この人も妻子亡くして飲まず食わずで籠城してた割には元気だったな。後半突然出てくる血塗れの子供も絶対罠だと思っていたので普通に生存者だったのには逆にびっくりしました。今まで何処に居たのかと。
最後の解決方法もちょっと強引に感じます。その後のラストバトルもテンション上げた割りにアッサリ決着着き過ぎです。雑魚を蹴散らしてからボス戦という展開にした方が盛り上がったんじゃないかな。
主人公エバンを演じたジョシュ・ハートネットはオッサンになったけど相変わらずかっこいいですね。メリッサ・ジョージが演じたステラも冷静にエバンをサポートしていく感じよかったですね。最初ダイナーで怪しい男が向って来ようとしたのをエバンが抑え込んで阻止した時、ちょっと嬉しそうな表情する所可愛かった。ベン・フォスターは怪しい男がハマってたんじゃないかな。
序盤の飼い犬数十頭が惨殺されたり、連絡手段が立たれて停電したりと不穏な事態が静かに進行していく感じよかったですね。
ヴァンパイア達の造形は鮫の様な黒い目などが不気味で良かったです。肉食獣の様な食いつきっぷりや人間とは違う言語で話す所も面白かったです。雑魚一人でも数人で掴み掛っても投げ飛ばす強さも緊張感を感じさせて良かった。ヴァンパイアに美しさやエレガントさ求める人には不評だとは思いますが、ひたすら凶悪さと残忍さ、怖さ求めたヴァンパイア像は個人的にアリですね。
序盤でヴァンパイアが町を襲撃する様子を俯瞰で捕らえたシーンも良かったです。「ドーン・オブ・ザ・デッド」の序盤を彷彿させて。
切り裂かれる喉や斧で首チョンパしたりといったゴア描写もしっかり描いていたのも良かったです。子供ヴァンパイアの首を切る所は驚きました。
町の逸れ者ボウが除雪車でヴァンパイアに突撃するシーンはかなり盛り上がりました。車に群がりついてくるヴァンパイアの頭部をショットガンで吹き飛ばし、取り付けた巨大チェーンソーで頭部きり飛ばしたり胴体切断したりとアッサリ目ながらも血飛沫描写もいい感じでした。もっと彼の活躍を見たかった。
ラストは感動までは行きませんがエバンの潔さは良かったです。
良い所も有るのですが設定を上手く活かせて無く全体的に惜しい仕上がりでしたね。