このレビューはネタバレを含みます
イギリスの天候は、曇りが多いと聞く。
その雰囲気、無駄に晴れやかさを演出しない、映像の中のグレーや暗影に惹かれた。
謳い文句は「再生の物語」のようだが、再生はしない。主人公の気持ちに多少の浮き沈みはあるものの、わずかである。そういう性格なのだろう。己の人生を見直すという程のものでもない。彼はただ、いつものように故人を偲び、特に最後の案件には、いつも以上に力を注いだ。ただそれだけだ。最後、とある女性と良い雰囲気になるものの、その後の展開はない。
主人公の年齢を知ったときは驚いた。勝手に60間近だと思っていたら、なんと44。アジアとヨーロッパの老け方の違いは凄い。
ラストは唐突だ。わりとあっけない。悲しく虚しい。私だったら、こんな人生は送りたくない。しかし、彼の仕事と彼の思いは必要だ。現代人が忘れている大切なものだ。みなに尊重してほしい。こういう人に国の長になってほしい。