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ハイ・ライズのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ハイ・ライズ(2015年製作の映画)
3.8
1975年、イギリス。ロンドンから北2マイルに富裕層向けのタワーマンションが建設される。そこはラグジュアリーな内装や抜群の眺望を有するだけでなく、敷地内にスーパーマーケット、プール、銀行、医療施設、小学校、レストランなどありとあらゆる設備が整っており、人々の生活の夢を具現化したような住居空間だった。医師のラング(トム・ヒドルストン)は、マンションのコンセプトを考案した建築家ロイヤル(ジェレミー・アイアンズ)に誘われ、このマンションに入居する。俳優、モデル、アーティスト、TVプロデューサーなど一流のセレブリティばかりの住人たちは、毎晩のように派手なパーティーを開き、自らの成功に酔いしれ人生を謳歌していた。彼らと同様にこの狂乱の宴の中に身を投じるラングだったが、ワイルダー(ルーク・エヴァンス)という男と出会い、フロアの高低によって階級間の摩擦が存在することを知る。そんなある夜、停電が起こり、住人たちの問題が浮き彫りになる……。J・G・バラードの同名小説を映画化。
「タワー」と呼ばれたタワーマンションでのセレブリティ中心の上層階と中産階級中心の下層階の人々の対立を、プールや電力の制限などの厳しい制限や差別や階級別の生活の違いが火種になり、血まみれな殺し合いに発展する展開を、酒を飲みやりたい放題やりつくすセレブリティのパーティーや高級スーパーなどセレブリティのライフスタイルなどのディテールを絡めて描かれているので、階級に関係なく欲望を剥き出しにしていく「タワー」の人々が階級社会のいじわるい風刺に見えるのが、面白い。
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